toppege


最新健康ニュース!
                                                                                                      update 2013/01/25

空腹で記憶力アップ=ハエで確認、世界初―都医学研     2013年1月25日

 ショウジョウバエを空腹にさせると、物事を長期間覚えておく「長期記憶」が向上することを、平野恭敬東京都医学総合研究所主任研究員らのチームが突き止めた。

 研究チームによると、空腹と記憶力に関連があることを実験で確認したのは世界で初めて。平野研究員は「ヒトの記憶はより複雑で注意が必要だが、似た仕組みがあるかもしれない」と指摘。記憶力を向上させる薬の開発につながる可能性もあるという。

 特定のにおいと電気ショックを同時に与えると、ハエは二つを関連付けて記憶し、においを避けるようになる。ただ、記憶は短期間しか持たず、1日後には忘れることが分かっていた。

 研究チームはハエを絶食させて実験。絶食時間が9時間の場合、においを避けたハエは満腹のハエに比べ約1.5倍多くなった。16時間では約2倍に増えたが、絶食が20時間以上になると減り始め、極度の空腹は逆効果になることも分かった。 


「クロレラ」糖尿病抑制に効果の可能性 動脈硬化にも? 2012/07/06sankei

 タンパク質など豊富な栄養素を含み、健康食品として知られるクロレラが、糖尿病予防に役立つ可能性のあることが分かった。関わる遺伝子を解析したことなどから明らかになったという。栄養の偏りやストレスなど生活習慣からくる肥満との関係が密接で、いまや国民病ともいえる糖尿病。さらなるクロレラの効能の解明が期待されている。

 被験者は、40歳以上55歳未満の健康な男性60人。血糖値が正常より高く、糖尿病と診断されるよりも低い「糖尿病予備軍」だ。ランダムに2つのグループに分け、30人には市販のクロレラを、残る30人には偽薬(そっくりだが、有効成分を含まないもの)をそれぞれ、いずれかを知らせずに毎日8グラムずつ、12週間飲用.
その結果、クロレラを飲用したグループで、血糖値を下げるインスリンの働きを弱め、糖尿病へとつながる「レジスチン遺伝子」の発現(遺伝情報が細胞の構造、機能に現れること)を有意に抑制したという。
 「予想を上回る結果でした。つまり、クロレラ摂取によって血糖値に関わるレジスチン遺伝子の働きを抑えることができたことから、糖尿病の発症および発症後の合併症の予防が期待できます。
 ◆動脈硬化にも?
 私たちの食生活は“太る傾向”にあり、糖尿病などに苦しむ人が多い。
 「クロレラは貧しい時代の栄養食でしたが、食生活を見直す現代にこそ、効果を期待される食品の一つ。今回の試験は12週間でしたが、1年間ほど同様の試験を続けて糖尿病に対するクロレラの効果をさらに検証してみたい」

 また、この試験では動脈硬化を抑える結果もみられた。クロレラ飲用群のLDLコレステロールやPAI−1など、動脈硬化に関わる臨床検査値が一方の群に比べ、有意に下がったという。
 今回、2つのグループの比較試験に加え、遺伝子を綿密に解析する研究方法も採用した。「複数の栄養素を含む食品を評価するのにも価値があります。私たちは日々、いろいろな物を食べています。食生活を科学的、総合的に見直す契機になれば」と話す。

被曝対策…ヨウ素剤の投与で発症予防             2011/03/15 yomiuri


放射能漏れはどのような健康被害を及ぼす可能性があるのか。とられるべき対策はどういうものか。 「放射性物質には様々な種類があり、それによって体に及ぼす影響も異なる。どのような放射性物質が漏れているかが重要だ」。放射線の人体への影響に詳しい東京女子医大の三橋(みつはし)紀夫教授は説明する。

 原子力施設から放射性物質が空中に飛散すると、皮膚などに付着した物質から放射線を浴びる「外部被(ばく)」と、呼吸などで体内に取り込まれることによる「内部被曝」がある。内部被曝のうちで主に問題となる物質はセシウム、ヨウ素、ストロンチウムだ。

 ヨウ素は甲状腺に長くとどまることが多く、甲状腺がんの危険性を高める。セシウムは比較的体内から出やすいが、筋肉や血液に入ると周辺の骨髄や腸管などが障害を受ける。ストロンチウムは骨に集まり、白血病を発症させる恐れがある。

 ただし、医療分野の放射線専門家でつくる「医療放射線防護連絡協議会」総務理事の菊地透・自治医大RIセンター安全管理主任は「人体に影響が出る放射性核物質が広がる範囲は、数キロ・メートル圏内に収まると考えている」と指摘。「汚染された地域は立ち入り禁止になるが、指定された距離以上に離れた地域に避難していれば、一般住民の健康に影響が出ることはないと思う」との見方をしている。

 健康被害の予防策について、チェルノブイリ原発事故で被災者の治療にあたった内分泌外科医の菅谷昭・松本市長は「特に、胎児への悪影響が懸念される妊婦や、放射性物質の影響を受けやすい15歳以下の子どもには、前もって安定ヨウ素剤を飲ませたほうがいい」と話す。安定ヨウ素剤は放射性ヨウ素が甲状腺にとどまるのを抑える。専門家が適切な量の投与をすれば予防効果は高く、チェルノブイリ事故の際、緊急投与を行ったポーランドでは、子どもに甲状腺がんが出なかったという。ただ、セシウムやストロンチウムの影響を予防する方法はなく、「定期的に検診し、早期に治療できる体制整備が必要だ」とした。

 首長を務める立場からも、菅谷氏は「政府は当初から危機意識が足りなかった」と批判する。「福島県以外にも放射能の拡散が考えられるので、各地で濃度の測定が必要。どの放射性物質が漏れているのかも分析し、対策を急いでほしい。チェルノブイリ事故では、政府が情報を隠して国民の信用を失った。日本政府は、具体的な状況や今後起こりうることについて正確に情報公開すべきだ」と警告した。


4つの習慣で14年長生き 英の2万人調査で判明                    2008/01/10

たばこを吸わず、飲酒はほどほど、野菜と果物を十分に取り、適度な運動をする人は、そうした習慣のない人よりも14年長く生きられるとの調査結果を、英ケンブリッジ大の研究チームが米医学誌に8日発表した。
どれも健康に良いとされる生活習慣だが、具体的な利益をはじき出した点で意義があるという。
チームは、英南東部の45-79歳の健康な住民約2万人を対象に、1993年から97年にかけて健康調査を実施、2006年までの死亡率と生活習慣との関係を解析した。
 その結果(1)喫煙しない(2)飲酒はワインなら1週間にグラス14杯まで(3)1日に最低こぶし5つ分程度の野菜、果物を取る(4)1日30分ほどの軽い運動をする-の習慣がある人は、4つともない人より、同年齢で病気による死亡率が4分の1と低く、14年分の寿命に相当することが分かった。
習慣と最も関連するのは心臓や血管など循環器系の病気だという。チームは「ちょっとした良い習慣の組み合わせが、長生きにつながる」としている。

肥満と糖尿病発症のDNA差異発見                                                asahi  2007/04/13

 肥満と糖尿病のなりやすさに関係するDNAの微妙な違いを英オックスフォード大などのグループが見つけ、13日付の米科学誌サイエンスで発表した。新たな治療法につながる可能性がある。
SNPは、DNAを構成する塩基の配列が1カ所だけ異なっていること。グループは国際協力で見つかってきた49万カ所のSNPについて、糖尿病患者2000人と患者でない3000人とで頻度に差があるものを探した。その結果、患者では非患者に比べて、16番染色体にあるFTOと呼ばれる遺伝子で、塩基配列の1カ所がT(チミン)ではなくA(アデニン)の人の割合が高くなっていることがわかった。父母からいずれもAを受け継いだ人は、いずれもTの人に比べ、糖尿病の9割以上を占める2型糖尿病になるリスクが約5割高くなっていた。欧州の白人約3万8000人を対象に、体重を身長で2回割る「BMI」という指標を使って、2型糖尿病になりやすい肥満との関係も調べた。ともにAの人はともにTの人に比べ、平均体重が3キロ重く、BMIが30以上の肥満になるリスクが約7割高いことがわかった。
欧州では父母のどちらか、あるいは双方からAを受け継いだ人は4〜5割程度だが、日本人では1割程度とみられる。FTO遺伝子の働きはまだわかっていない。
板倉光夫・徳島大ゲノム機能研究センター長は「極めて大規模な解析で注目される。肥満や糖尿病の仕組み解明や治療法の開発につながる可能性がある」といっている。


たばこも酒も習慣、食道がんリスク10倍 東北大調査                               asahi     2006/11/20

喫煙するのに加えてほぼ毎日飲酒する男性は、どちらの習慣もない人たちと比べて食道がんになるリスクが9〜11倍あることが、宮城県の約2万7000人を対象にした東北大の石川敦庸(あつのぶ)医師(公衆衛生学)らの調査でわかった。たばこの関与が特に大きく、患者の約7割は喫煙しなければ、がんにかかるのを避けられた計算になるという.

84年に約9000人、90年に約1万8000人のいずれも40歳以上の男性に食生活などを尋ね、それぞれ9年間と7年7カ月間追跡したところ、78人が食道がんになっていた。
そこで喫煙や飲酒、緑茶を飲む習慣が食道がんのリスクとどうかかわるかを調べた。たばこを吸う人のリスクは吸わない人と比べて5倍、ほぼ毎日飲酒する人のリスクはほとんど飲まない人と比べて2.7倍あった。
緑茶を1日5杯以上飲む人は飲まない人と比べて1.7倍リスクがあった。理由ははっきりしないが、研究チームは「緑茶を熱い状態で飲む人が多かったのかも知れない」と推測する。熱い飲食物は、食道がんの危険を高めるとされている。
こうした個別の解析とは別に、「たばこを吸わず、お酒も緑茶もほとんど飲まない」人たちのリスクを1として計算すると、喫煙と飲酒の習慣がある人ではリスクが9.2、さらに1日3杯以上の緑茶を飲む習慣も加わると11.1になった。
食道がんと診断されるのは年に1万5000人ほどとされ、8割以上を男性が占める。今回の調査をまとめた栗山進一・東北大助教授は「食道がんは生活習慣で予防できる代表的ながん。禁煙が何より大事で、酒を飲みながらのたばこは最悪です」としている。


糖尿病にかかるとがんリスク3割増 厚労省研究班調査                   asahi 2006/9/28

糖尿病にかかっていると、がんを発症する危険が2〜3割高まるとする結果を、厚生労働省の研究班が約10万人を対象に調べた研究からまとめた。米国の内科学専門誌で26日に発表する。
90年から94年にかけて、40〜69歳の男性約4万7000人、女性約5万1000人にアンケートし、糖尿病の有無や生活習慣などを聞いた。その後の経過を03年まで追跡すると、男性で3907人、女性2555人が何らかのがんにかかっていた。
糖尿病になっていた人ががんを発症するリスクを糖尿病でない人と比べると、がん全体では男性で27%、女性でも21%上回っていた。男性では、糖尿病の人はそうでない人と比べて肝臓がんで2.24倍、腎臓がんで1.92倍、膵臓(すいぞう)がんで1.85倍とリスクが高まっていた。女性では肝臓がんで1.94倍、胃がんで1.61倍だった。
一般的な糖尿病では、病気が進む過程でインスリンが過剰分泌状態になる。この状態だと、細胞の増殖が刺激され、がんにつながりやすいことが実験で知られている。ただ、肝臓がんを招く慢性肝炎などを抱えていることが、逆に、糖尿病の危険を高めている可能性も考えられるという。
厚生労働省の研究班は「糖尿病につながる肥満や運動不足、喫煙といった生活習慣を改めることが、がんの予防にも役立つ」と話している。

「キレる子」の原因探れ、食事・睡眠など追跡調査へ 2006/09/09 yomiuri

児童・生徒が授業中などに突然、「キレる」原因を解明しようと、文部科学省は2007年度から、「定点観測」調査に乗り出す。
食事、テレビ視聴などの生活習慣や家庭環境が「キレる」現象にどう影響しているかを探ることで、生活・学習指導に役立てるのが狙いだ。
同省は来年度予算の概算要求に約1億5000万円の関連経費を盛り込んでおり、今後、モデル校や調査テーマ設定などに着手したいとしている。
小中学校などの学校現場では、近年、普段はおとなしい児童・生徒が教師から注意を受けると、突然、「うるさい」と食ってかかったり、教師に暴力を振るったりする「キレる」行動の増加が問題になっている。 文科省によると、04年度に全国の公立小学校2万3160校で児童が起こした校内暴力は前年度比18・1%増の1890件に上り、過去最悪になった。喫煙など生活の乱れが表れる問題行動の場合、指導しやすいが、通常は問題がない児童・生徒が「キレる」時は、原因がわかりにくく、指導も難しい。このため、文科省は05年に「情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会」を設置し、科学的な視点で問題行動の背景を探る手法を検討。「高度情報化社会が子供の脳に及ぼす影響についての研究」「児童・生徒の情動に関する客観的なデータ」が必要との結論を得た。
文科省は06年度、調査手法などの検討を重ね、07年度から研究テーマの絞り込みや対象地域選定を行うための準備研究に着手する。幼稚園や小学校時代から特定の児童を対象として選び、保護者の同意を得た上で、数年間にわたり調査する方針だ。〈1〉朝食摂取状況や睡眠時間などの生活リズム〈2〉テレビ視聴やテレビゲームをする時間〈3〉家族構成――などを研究テーマとし、これらの要素と行動がどうかかわっているかを分析する予定だ。調査は、例えば五つの研究テーマで2000人ずつなどとする規模を想定している。幼児を対象にした「生活・成育環境と発達との関係」を研究している小泉英明・日立製作所フェローは「問題行動がなぜ起こるか、推測で語られているが、実際はよく分かっていない。実態把握をするため、科学的な証拠を集めることが重要だ」と話している。ら

ピロリ菌:感染で胃がんのリスク5〜10倍に    2006/09/04  mainiti

細菌の一種の「ヘリコバクター・ピロリ」に感染すると胃がんになる率が5〜10倍高まることが、厚生労働省研究班の大規模追跡調査で分かった。しかし、除菌しても胃がんを防げるかどうかは不明といい、研究班は「予防には、禁煙や食事の減塩、胃がん検診の受診を勧める」としている。研究班は1990年と93年に、全国の40〜69歳の男女計約3万7000人を採血。ピロリ菌への感染の有無や、体内の菌の毒素の有無を調べた。04年までに計512人が胃がんになった。
採血時にピロリ菌感染が確認された人は、確認されなかった人に比べ、5.1倍の率で胃がんになっていた。
さらに、採血時に感染はなかったが、過去の感染の影響とみられる菌の毒素が確認された人も含めると、感染か毒素があった人はどちらもなかった人の10.2倍の率で胃がんになっていた。
菌の影響で胃粘膜が炎症を起こして萎縮し、がんになりやすくなるらしい。ただ、感染歴がある人は調査対象の約94%と推計され、胃がんになるのはその一部という

食物繊維少ないと大腸がんの危険 厚労省調査 リスクは2・3倍  2006/07/20

穀物や野菜などに含まれる食物繊維は、1日10グラムを超えて取っても大腸がんの予防効果に差は出ないが、摂取量が少ないと発症の危険性は2.3倍に高まるとの調査結果を、厚生労働省研究班が発表した。

 同様の結果は欧米でも出ており、適度な摂取が健康維持に大切との見方を裏付けた。厚労省は生活習慣病予防などの観点から大人で15−20グラムの目標を掲げているが、大腸がん予防だけなら10グラムで足りるかもしれないことを示した形だ。
大谷哲也群馬大助手ら研究班は、新潟県、大阪府など9地域で、40−69歳の男女約10万人を1990年から最大12年間追跡。95年以降に大腸がんを発症した522人で、食生活との関連を詳しく調べた。

●アルコール性肝硬変、コーヒー1杯で8割に減少                         2006/06/14 asahi

飲酒量が同じの場合は、コーヒーを多く飲む人ほどアルコール性の肝硬変になりにくいことが、米カリフォルニア州での大規模な疫学調査で確認された。

調査を実施した研究者は、1日1杯のコーヒーで発症の危険性は8割に減るとしながらも、予防には「お酒の飲み過ぎを避けるのが先決」と、くぎも刺している。

 調査は、医療保険などを運営する「カイザー・パーマネンテ」研究部門のアーサー・クラツキー医師らが、保険加入者12万5580人を対象に実施。1978〜85年の時点で尋ねておいた各自の生活習慣と、その後の病気発症状況との関連を分析した。
 それによると、2001年までにアルコール性肝硬変を発症していたのは199人。喫煙など他の要因が影響しないように配慮して分析を試みたところ、明確に浮かび上がったのがコーヒー効果。飲まない人に比べ、1日に4杯以上飲む人の発症リスクは2割、1〜3杯の人でも6割にとどまった。

 心臓病発症率:たばこで3倍程度高く 厚労省研究班調査         2006/04/11

たばこを吸う人は吸わない人に比べ、心筋梗塞(こうそく)などの心臓病にかかる率が3倍程度高いことが厚生労働省研究班(担当研究者・磯博康大阪大大学院教授=公衆衛生学)の大規模調査で分かった。心臓病で治療を受けている患者は全国で約107万人と推計されているが、調査結果を当てはめると、うち約31万人は喫煙しなければ発症しなかった計算になる。英国の循環器病予防専門誌4月号に、論文を発表した。
磯教授らは、全国の40〜59歳の男女計約4万1000人にたばこを吸う本数などを聞いた後、90〜01年にかけて平均11年間追跡し、心筋梗塞や心臓の異常による突然死などが起きたかどうかを調べた。その結果、男女計326人が心筋梗塞などを発症し、うち109人が死亡していた。
◇2年以上禁煙の男性、非喫煙者と変わらず喫煙との関係を調べると、喫煙男性の発症率は吸わない男性の約2.9倍、喫煙女性は吸わない女性の3.1倍だった。男性の発症率は喫煙本数とともに増え、1日14本以下は吸わない人の2.3倍だったが、15〜34本だと3.0倍、35本以上は3.1倍になった。
心筋梗塞などによる死亡者は、全国で男女とも年間約1万5000人。調査結果からは、うち男性6900人、女性1400人の計8300人の死者が、たばこの影響とみられた。
一方、禁煙から2年以上たつ男性の発症率は元々吸わない人と変わらなかった。肺がん予防では同様の効果が出るまで禁煙後10〜15年かかるが、心臓病予防の効果は早めに出た。女性は禁煙経験者が少なく分析が難しかったが、同様の効果が見込めるという。
磯教授は「たばこを吸うと、ニコチンの影響で血管が収縮し、血液もネバネバになって心臓の血管が詰まりやすくなる。禁煙するとこうした悪影響が消える」と予防効果の理由を説明している。

冬眠制御たんぱく質発見、病気予防や治療法開発にも                                   2006/04/07 yomiuri

冬眠を制御するたんぱく質の存在を、三菱化学生命科学研究所の近藤宣昭・主任研究員らがシマリスを使って突き止めた。
冬眠中は、体の防御機能が高まるだけに、人への応用の道が開ければ、新しい病気の予防法や治療法の開発につながるとしている。
近藤主任研究員らは、シマリスの肝臓で作られる特定のたんぱく質の血液中の濃度が、ほぼ1年周期で変動することを発見。さらに、このたんぱく質の血中濃度が、冬眠期には減少する一方で、脳内では逆に上昇することを確認し、冬眠特異的たんぱく質複合体と名づけた。
冬眠中のシマリスでも、脳内でこのたんぱく質の働きを抑えると、冬眠が停止したという。
冬眠は、寒冷期に体温を下げて、エネルギー消費を抑える生物現象。その期間中は、体の防御機能が高まり、通常時よりも血液循環が少なくても、脳や心臓が損傷を受けないほか、感染症に対する抵抗力も増すことが知られている。
近藤主任研究員は「全く新しい病気の予防法、治療法に道を開く可能性がある」としている。

リンゴ成分、中性脂肪を抑制                                                     2006/03/22 asahi

リンゴの抽出成分「リンゴポリフェノール」が、血液中の中性脂肪が増えるのを抑える効果があることを、アサヒビールが人への臨床試験で初めて確認した。これまでは動物実験でしか確認されていなかった。25日から京都女子大学(京都市)などで開かれる日本農芸化学会大会で発表する。
リンゴポリフェノールには、小腸で脂質を分解する酵素「リパーゼ」が活性化するのを抑える効果がある。小腸で吸収されない脂質は、そのまま体外に排泄される。
臨床試験では、約600ミリグラムのリンゴポリフェノール(リンゴ3個分)を摂取してから食事をすると、摂取しない場合に比べ、血液中の中性脂肪が約20%減る効果が確認された。
単純比較はできないが、ウーロン茶ポリフェノールと同程度の効果と見られる。

放線菌から骨粗しょう症抑制物質…理研・中部大チーム                          2006/03/07 yomiuri

抗生物質を作る放線菌の一種が出す物質に、骨粗しょう症をもたらす「破骨細胞」の働きを抑える効果があることを、理化学研究所、中部大学などの研究チームが突き止めた。
破骨細胞に作用する現在の治療薬に比べて副作用が少なく、有望な薬剤になるものと期待される。
骨粗しょう症は、古くなった骨を破壊する破骨細胞の働きが、骨を新しく作る「骨芽細胞」の働きを上回り、骨がスカスカになる病気。閉経後の女性などに多く、患者は国内で1000万人を超えると推定されている。
研究チームは、群馬県で採取した放線菌が作る化合物「リベロマイシンA」の抗腫瘍(しゅよう)効果について研究を進めていたが、その過程で、リベロマイシンAが、破骨細胞の働きを低濃度で抑えることを確認した。
骨粗しょう症になりやすい特殊なマウスにリベロマイシンAを与えたところ、破骨細胞による骨破壊が60%抑制された。
現在の治療薬は、長期に投与すると、骨の破壊だけでなく形成まで弱めたり、薬剤耐性が出てきたりするが、リベロマイシンAにはこうした弱点は見られなかった。

●PET検診、がんの85%見落とし…がんセンター                            2006年3月3日 yomiuri

国立がんセンター(東京)の内部調査で、画像検査PET(ペット、陽電子放射断層撮影)によるがん検診では85%のがんが見落とされていたことが分かった。
PET検診は「全身の小さながんが一度に発見できる、がん検診の切り札」と期待され、急速に広がっているが、効果に疑問符がついた形だ。PETは、放射性物質が含まれた薬剤を注射し、がんに集まる放射線を検出してがんを発見する装置。同センター内に設置された「がん予防・検診研究センター」では、2004年2月から1年間に、約3000人が超音波、CT、血液などの検査に加えPET検査を受け、150人にがんが見つかった。
ところが、この150人のうち、PETでがんがあると判定された人は23人(15%)しかいなかった。残りの85%は超音波、CT、内視鏡など他の方法でがんが発見されており、PETでは検出できなかった。
がんの種類別では、大腸がんが見つかった32人のうち、PETでもがんと判定された人は4人(13%)。胃がんでは22人中1人(4%)だった。
PETによる発見率が比較的高いとされる肺がんでも28人中6人(21%)、甲状腺がんで11人中4人(36%)にとどまった。
PETは1994年ごろから使われ始め、現在は100近くの医療機関が導入、多くでがん検診にも使われている。がん検診には保険がきかないため、10〜20万円程度の費用がかかる。日本核医学会の調査では、2004年9月の1か月間だけで4600人が受診した。PET検診と温泉ツアーなどをセットにした旅行企画も売り出されている。
国立がんセンターの村松幸男検診部長は「PETでは『小さながんを見つけやすい』と言われてきたが、早期がんでは他の検査に比べ検出率が低かった。PET検診の意義は小さいのではないか」と話している。
民間医療機関のがん検診では、がんのうちPETで検出されたのは64%、48%などのデータがある。国立がんセンターの超音波、CTなどを併用した検診では、がん発見率は一般の医療機関に比べ高いため、相対的にPETでの発見率が低下した可能性がある

女性の足、太くていい 脂肪が心臓病予防 筑波大調査                         2005/12/13 asahi

心臓病にならないためには、減量はしても足は細くしない方がいい。筑波大人間総合科学研究科の大蔵倫博講師らが成人女性を対象に行った健康調査で、そんな結果が出た。腹部の内臓脂肪とは違い、足にある脂肪には心臓病を防ぐ働きがあるらしい。
 肥満気味の女性のための減量プログラムに参加した128人を対象に、体重や血圧、総コレステロール値などのほか、X線を使った装置で胴体や腕、足の体脂肪量の変化を調べた。
減量は食事のカロリーを制限したうえ、有酸素運動を週に3回するなどした。14週間後、参加者の体重は平均で8キログラムほど減った。うち7キロ近くは体脂肪だった。
血圧や中性脂肪の値など、心臓病のリスクを予測する指標は、胴体の脂肪がたくさん減るほど改善した。ところが、ももやふくらはぎなど足全体の脂肪については、少ししか減らない人の方がより改善する傾向だった。足の脂肪は平均2.1キロ減っていたが、例えば、脂肪の減り方が30グラム少ないと、最低血圧(拡張期血圧)が1ミリHg(ミリ水銀柱)低くなる計算だという。
足の脂肪から、動脈硬化などを防ぐホルモンが出ている可能性が考えられている。大蔵さんは「内臓脂肪を落とすことが大切。健康の面からは『足やせ』はしない方がよさそうです」という。

●がん増殖止めるカギ、たんぱく質発見 米の日本人教授ら        2005/10/04 asahi

がん細胞の増殖を止めるカギになるたんぱく質を、米ハーバード大の中谷喜洋教授らの研究チームが発見した。がん細胞内で、このたんぱく質「p600」の合成を妨げたところ、がん細胞は増殖を止め、次々と自滅したという。子宮がんや骨肉腫など、様々ながん細胞で効果を確認しており、新しい抗がん剤の開発につながると専門家は期待している。
体内では、役目を終えたり、異常が見つかったりした細胞が増殖を止めて自ら死に、新しい細胞が生まれることで新陳代謝が繰り返されている。この細胞の自殺(アポトーシス)がうまく働かなくなると、細胞は無秩序に増殖し、がんになる。中谷教授らが発見したp600は、アポトーシスに深くかかわっているとみられる。同教授によると、培養したがん細胞内のp600は、正常細胞と比べて異常に増えており、「自殺機能」が働かなくなっていた。そこで、p600の合成を妨げる特殊な手法で培養細胞中のp600の量を減らすと、がん細胞は次々と死んでいった。正常細胞には影響がなかった、という。
子宮頸がん、骨肉腫、乳がん、直腸がんの細胞で、がん細胞は10%以下になった。胃、小腸、大腸、肺、卵巣、前立腺の各がん細胞では、同様のp600の異常増加が起きていることが分かった。このため、中谷教授は「ほとんどすべてのがんで効果が期待できる」とみている。
ただ、人体への臨床応用には、p600に結びついて過剰な働きを抑え、しかも毒性のない物質の開発が必要になる。
従来の抗がん剤の多くは、細胞のDNA合成を妨げて無秩序な増殖を止めようとするもの。正常細胞のDNAにも影響を及ぼすため、副作用が強い。効果も限定され、薬だけで治癒可能なのは、血液やリンパ球などごく一部の特殊ながんだけで、より一般的な胃がんなど固形のがんを治癒する薬は、ほとんどないのが現状だ。中谷教授は「p600が、がん治療薬開発の新たな力になれば」と話す。

●インスリン分泌の細胞増殖に成功、糖尿病治療に期待           2005/09/26 yomiuri

血糖値を下げるインスリンを分泌する膵臓のベータ細胞を必要なだけ増殖させることに、岡山大大学院の田中紀章教授、小林直哉助手らのグループが成功した。
ベータ細胞が破壊されてインスリンを作れない1型糖尿病の治療への応用が期待される。グループは、人の膵臓にある膵島細胞からベータ細胞を分離。細胞が死なずに増殖を続ける遺伝子を、ウイルスを運び役にして組み込んだ。細胞が十分に増えたところで、この遺伝子を特殊な酵素で切り、増殖を止めた。
この細胞を必要量だけ、1型糖尿病マウスの腎臓に移植すると、2週間以内に血糖値が正常になり、30週間維持された。インスリン分泌過剰による低血糖は起きず、がんの発生もなかった。移植しない糖尿病マウスは10週間以内に死んだ。
小林助手は「他人のベータ細胞を移植すると拒絶反応の問題が残るので、直接移植するのでなく、体内埋め込み型人工膵島の開発を進めたい」と話している。
生活習慣と関係なく発症する1型糖尿病の根本治療には、脳死後の膵臓移植や心停止後の膵島移植が行われるが、提供者が少なく、一部で始まった生体膵島移植も、提供者に危険を及ぼす恐れがある。

●お年よりの転倒予防、歩きより自転車こぎが有効                    2005/09/26 yomiuri

お年寄りが寝たきりになる大きな原因が転倒による骨折だ。大腿部や腰周辺の筋肉の鍛錬が転倒予防につながると言われているが、それにはウオーキングよりも自転車こぎの方が有効なことが東北大の研究でわかった。岡山県倉敷市で開会中の日本体力医学会で発表された。
年を重ねると、ひざを高く持ち上げる腸腰筋や小臀筋と呼ばれる筋肉が衰え、転倒しやすくなる。同大の伊藤正敏教授、藤本敏彦講師らは、これらの筋肉を鍛えるには、どんなトレーニングが効果的かを調べた。
筋肉は疲労回復のために、盛んに糖分を摂取する特性がある。研究チームは20代の学生5〜7人に、30分〜1時間の様々なトレーニングをしてもらい、身体の糖の取り込み分布を画像化できる陽電子放射断層撮影(PET)装置で分析した。
その結果、階段上りでは、ひざ上げに最も重要な腸腰筋、次いで重要な小臀筋が使われた様子が確認されたが、ウオーキングやジョギングでは、腸腰筋の活発な動きは見られなかった。
腸腰筋の活動が盛んだったのは自転車こぎで、ペダルを踏み込む際は、大腿部に力がかかるものの、もう一方の脚は、股関節を曲げてひざを上げるため、腸腰筋を使っていると考えられる。藤本講師は「自転車こぎで鍛えられる筋肉は、お年寄りでも同じ。階段上りは疲労感が残るうえ、無理すると心臓や肺に負担をかけ逆効果」と話している。

●太り過ぎ:世界で6人に1人 WHO推計                           mainiti 2005/09/25

世界保健機関は24日までに、世界中で10億人以上が太り過ぎの状態とする推計を発表した。世界の人口は約63億人(03年)で約6人に1人が太っている計算になる。
推計によると、31歳以上の75%以上が太り過ぎとされる国は、女性では米国やメキシコ、エジプト、トルコ、南アフリカなど。男性ではドイツやアルゼンチン、英国、ニュージーランドなども挙げている。これまで太り過ぎは高所得の国で問題となっていたが、現在は低・中所得の国で急増。脂肪や糖分が多い高カロリーの食生活が世界的に広まったことや、労働形態の変化、交通の発達で運動不足になっていることが急増の原因としている。
WHOは現在のペースで太り過ぎの人が増えれば、15年には15億人に達すると警告。太り過ぎが要因の一つとされる心臓病や脳卒中が増える可能性も指摘している。

「家庭血圧」低い認知度 東北大調査 上135で高血圧              asahi 2005/09/20

家庭用血圧計が3世帯に1世帯ほど普及する中で、家庭で測るときの高血圧の正しい基準を知っている人はほとんどいない。
そんな実態が東北大とオムロンヘルスケアの調査でわかった。
高血圧治療ガイドラインが昨年、改められ、家庭での基準が新たに設けられたのに伴い、
今年4〜8月、全国の薬局138カ所で20〜90代の約1万人にアンケートした。
病院で測る場合の高血圧の基準値は上が140以上、下が90以上(単位はミリHg)。
病院では一時的に血圧が上がる人もいるため、家庭でリラックスして毎日測れる家庭血圧では135/85以上という新基準ができた。
ところが、調査では正しい基準を知っている人は約1%だった。上の血圧を高めに答えた人が全体の約72%に上った。


夜食べると太る、本当だった。 脂肪蓄積に体内時計関与    yomiuri 2005/09/12

生活リズムを刻む体内時計に関与するたんぱく質が、脂質の蓄積に深くかかわっていることを日本大学薬学部の榛葉繁紀専任講師らが突き止めた。

このたんぱく質は、日中に減少し、夜間に増加するリズムを刻んでいた。俗に「夜に食べると太る」と言われるが、研究成果はこの仕組みを説明する証拠のひとつになるとみられる。
「BMAL1」と呼ばれるたんぱく質で、榛葉講師らは、BMAL1が脳以外では、脂肪組織に大量に存在し、肥満によって量が増えることに着目した。
遺伝子操作でBMAL1が作られなくなったマウスにエサをたくさん与えても、脂質が蓄積することはなかった。逆に、BMAL1が増えると、脂肪細胞のほか、通常、脂質を取り込まない細胞でも脂質を蓄積することがわかった。また研究グループは、BMAL1が人間にもあることを確認した。
榛葉講師は「BMAL1は、夜間、増加して、エネルギーの補充にかかわっているとみられる。BMAL1のリズムに合わせて食事したり、BMAL1の産生を抑えることで肥満予防につながる」と話している。

糖尿病患者、心の病リスク3倍 厳しい自己管理で重圧                asahi 2005/08/26

糖尿病にかかっている人は、かかっていない人に比べ、うつ病や神経症など心の病になっている割合が約3倍高いことが、東京医科歯科大の有馬秀晃医師らの調べでわかった。糖尿病とうつ病の関連性は米国の論文などで指摘されてきたが、日本では大規模な調査が行われておらず、実態はわからなかった。神戸市で開かれている世界心身医学会で25日、発表した。
有馬さんらは、ある企業の健康保険組合員6543人(平均年齢37.4歳)を対象に、有病率を調べた。
その結果、生活習慣病の2型糖尿病患者は195人いた。うち心の病がある人は10.3%(20人)に上り、糖尿病にかかっていない人で心の病がある割合(6348人中214人、3.4%)に比べ、約3倍高かった。うつ病に限定しても、糖尿病患者の有病率は2.6%(5人)あり、糖尿病でない人の1.2%(78人)に比べて2倍以上高かった。
国内の糖尿病患者は約740万人と推計され、予備軍も加えると1620万人に上り、年々増える傾向にある。
うつ病を合併するのが多い理由として、食事療法やインスリン自己注射など日常生活において厳しい自己管理が求められ、ストレスがかかることや、病気の悪化による失明や腎障害への不安などが指摘されている。また、うつ病によって食生活が乱れたり、治療意欲が下がったりするため、糖尿病が悪化するという報告もある。
有馬さんは「糖尿病になった場合、病気の治療だけでなく、心のケアも同時に行うことが大切だ」と話している

寿命延ばす?たんぱく質発見 日米チームがマウス実験で                  asahi 2005/08/26

寿命を延ばす作用があるらしいたんぱく質を、黒尾誠・米テキサス大助教授と東京大、大阪大などのチームがマウス実験で見つけた。こうした物質が、哺乳類で見つかったのは初めて。このたんぱく質は人間でもつくられており、将来、薬でこのたんぱく質を増やすなどして、寿命が延ばせるようになるかも知れない。
この物質は、黒尾さんらが8年前に見つけた遺伝子「クロトー」がつくるたんぱく質。遺伝子操作でクロトーたんぱく質が通常のマウスの2〜2.5倍できるマウスを作ったところ、通常のマウスの寿命が平均約700日なのに対して、平均で2〜3割長生きし、3歳に達したものも出た。このたんぱく質は脳や腎臓でつくられる。一部が血液で体中に運ばれ、インスリンの作用を抑制するように働いていた。通常のマウスにこのたんぱく質を注射すると、血液中の糖を体の組織に取り込むインスリンの働きを打ち消し、血糖値が上がった。インスリンの働きを抑えすぎると糖尿病になるが、適度に抑えることで寿命を延ばすとチームは見ている。
クロトー遺伝子が壊れたマウスは、動脈硬化や骨粗鬆症、肺気腫などで短命なことが知られていた。黒尾さんはこのたんぱく質がホルモンとして老化を制御するとしており、「人の老化や生活習慣病の治療・診断に応用できる可能性がある」という。
これまで、哺乳類の寿命を延ばす方法としては唯一、体に取り込むカロリーの制限(食事制限)が有効なことが、多くの動物実験で確かめられており、インスリンとのかかわりを指摘する説もある。

心筋梗塞後の心不全を予防 北大のグループが有効なタンパク質発見 新しい治療法に期待    2005/08/03 hokaidou

 北大大学院医学研究科の筒井裕之教授らのグループは、心筋梗塞後の心不全の予防や治療に有効なタンパク質を動物実験で突き止めた。筒井教授は「薬の開発など新しい治療につなげたい」としている。二日付の米国心臓学会誌に発表する。 筒井教授らによると、心筋梗塞後の心不全は、心筋細胞にあり心臓のエネルギーをつくっているミトコンドリアが過剰に産出した活性酸素が、ミトコンドリアの遺伝子を破壊し機能悪化を招くことで起きる。
この心不全の予防・治療法として、ミトコンドリア遺伝子の形や機能を保つ働きがあり心筋細胞に存在するタンパク質「ミトコンドリア転写因子A(TFAM)」に注目。TFAMを大量につくることができるようにしたマウスと普通のマウスに心筋梗塞を起こさせ、比較した。
四週間後、普通のマウスは四割が心不全で死亡したのに対し、TFAMを大量につくることのできるマウスは一匹も心不全にならずに生存。ミトコンドリア遺伝子の量も機能も正常のままだったという。筒井教授は「TFAMが活性酸素の過剰な産出を抑え、心機能を保つことが分かった。動物実験の結果だが、ヒトにも有効に働くと考えられる」と話している。
今後はTFAMを増やしたり、働きを強化させる薬の開発を目指し、心筋梗塞後の心不全の新たな予防・治療法を確立する考えだ。筒井教授によると、心筋梗塞後の患者のおよそ四分の一に心不全の危険性があるという。

日本人の480万人、腎機能低下の疑い 腎臓学会が推計                asahi 2005/06/24

日本人の成人約480万人で腎臓の機能が低下している疑いが強いことや、一般に日本人が欧米人より腎機能が低いことが、日本腎臓学会の調査で示された。約36万人分の健康診断などのデータを新基準で評価、推計した。23日の同学会学術総会で報告された。腎臓の機能を表す糸球体濾過値という新しい基準を使い、99〜04年の東京や大阪、福岡近郊など全国7地域の健康診断や人間ドックのデータから血中クレアチニン値や年齢を調べ、推計した。
米国ではGFRが60未満で「慢性的な腎臓病」とみなされる。今回の調査で、日本人の約2000万人余りがGFR60未満、うち約480万人は50未満と考えられた。
体格や食生活などの差があって単純には比較できないが、日本人のGFRは欧米人に比べて低い傾向にあった。同学会は「国民の480万人は腎機能低下が強く疑われる」とした。
腎機能が失われると、人工透析を受ける必要が生じる。同学会によると、日本では現在25万人が透析を受けており、毎年約1万人増えている。

胃かいよう、胃炎の原因「ピロリ菌」の仕組み解明                                                                 yomiuri 2005/06/22

 胃潰瘍や慢性胃炎の原因となるピロリ菌が、これらの病気を引き起こす仕組みを、北海道大遺伝子病制御研究所の畠山昌則教授らが解明した。
 ピロリ菌が出す2つの毒素が、細胞の増殖にかかわるたんぱく質を操り、細胞が異常増殖すると胃炎が、増殖抑制で潰瘍がそれぞれ起きる。新薬につながる成果で、21日付の米科学アカデミー紀要に発表された。
ピロリ菌は、CagAとVacAと呼ばれる2つの毒素を出すが、人間の細胞の中でどのような作用をするかこれまで不明だった。畠山教授らは、2つの毒素が影響を与えるたんぱく質を最新の手法で分析。その結果、CagAは細胞増殖に関するNFATというたんぱく質の働きを活性化させ、VacAは逆にNFATを抑制することがわかった。

アルツハイマー予防に野菜ジュースが効果?米会議で対策報告    asahi 2005/06/20

米・ワシントンで開催中のアルツハイマー病をめぐる国際会議で発症の何年も前に85%の確率で危険性を予測する画像診断法を開発したとする報告や、野菜や果物のジュースを愛飲すると発症リスクが4分の1に抑えられるという報告があり、注目を集めた。
画像診断法を開発したのは、米ニューヨーク大の研究チーム。記憶の中枢とされる脳の海馬という部分の活動低下を、陽電子放射断層撮影(PET)で診断するもので、発症の15年前に予測することも可能だという。脳が活発に活動している場所では、エネルギー源のぶどう糖が盛んに消費されることが知られている。研究チームは50〜80代の健康な53人を対象に、海馬でのぶどう糖の消費状況を時折PETで測りながら、9〜24年間経過を追った。最終的には、25人がアルツハイマー病や軽度認識障害を発症した。発症者のPET診断の結果を未発症者と比べると、研究開始の段階ですでにぶどう糖の消費が15〜40%低かったという。
この調査結果を基に海馬の画像診断システムをつくった結果、アルツハイマー病は85%、軽度認識障害は71%の確率で事前予測できた。研究チームは「発症の9年前には予測できることが分かった。15年前でも予測できるだろう」という。野菜ジュースや果物ジュースの効果は、南フロリダ大の研究チームが、米ワシントン州に住む65歳以上の日系人男女1836人を7〜9年間にわたり追跡した健康調査のデータから示された。そうしたジュースを週に最低3回は飲む人は、週1回未満の人に比べて、アルツハイマー病の発症リスクが75%も低かったという。ビタミン剤や栄養補助食品は発症リスクに影響していなかった。研究チームは「野菜や果物のジュースに含まれるポリフェノールが、アルツハイマー病の発症を遅らせているのだろう」という。
〈植木彰・自治医大大宮医療センター教授(神経内科)の話〉 野菜や果物の摂取が予防になるという結果は海外のほかの研究でも出ており、ポリフェノールや葉酸などの抗酸化物質が効いていると考えられている。バランスよく食品でとると、これらの物質が活用されるようだ。画像診断による予測も信頼できそうだ。認知症は青年期、中年期から始まっており、人生全体を見渡した研究が必要だ。

心筋梗塞、ウエストに注目 男85cm、女90cm                  asahi      2005/04/09

心筋梗塞の予防はウエストサイズの測定から。内臓脂肪のたまり具合をウエストサイズで判断する診断基準を、日本動脈硬化学会や日本糖尿病学会など8学会がまとめた。男性は85センチ、女性は90センチ以上だと「要注意」だという。大阪市で開催中の日本内科学会で8日、公表された。脂肪のたまり方には皮下脂肪型と内臓脂肪型がある。内臓脂肪がたまると血糖や血圧、中性脂肪などが正常より高めになる。糖尿病や高血圧と診断されるほどではなくても、複数重なると動脈硬化が進行し、心筋梗塞につながることがわかり、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と呼ばれるようになった。だが、内臓脂肪の量はコンピューター断層撮影写真を撮らないとわからず、明確な診断基準がなかった。
今回まとまった診断基準は、「要注意」のウエストサイズで、
(1)中性脂肪が150ミリグラム以上(血清0.1リットル中)またはHDLコレステロールが40ミリグラム未満(同)
(2)最大血圧が130以上または最小血圧が85以上
(3)空腹時血糖値が110ミリグラム以上(血漿0.1リットル中)
の3項目のうち2項目以上に当てはまるとメタボリックシンドロームとした。食事に気を付け、運動を心がけるなど生活習慣を改善すれば、心筋梗塞の危険性は減らせるという。
基準づくりの中心となった住友病院の松沢佑次病院長は「血糖や血圧などが少し高いだけだと放置していた人を見つけ出し、生活習慣の改善につなげるのが大切だ」と話している。

生活習慣病:持つ人、不眠に悩まされる傾向強い                             mainiti 2005/04/04

生活習慣病を持つ人はそうでない人に比べ、不眠に悩まされる傾向の強いことが、内村直尚・久留米大助教授の調べで分かった。特に高血圧症、高脂血症、糖尿病の3疾患を抱えて治療を受けていない人の半数近くが不眠を訴えており、うつ病などの精神疾患につながる恐れもあるという。
調査はJR東海の協力を得て、同社が調査モニターの契約を結んでいる35〜59歳の会社員男女7800人を対象に実施。昨年12月にインターネットを使って、過去2年間の健康診断で3疾患の可能性を指摘されたかどうかや、睡眠の状況、うつ症状の有無などを聞き、6084人(男性5546人、女性538人)から回答を得た。
3疾患のいずれも指摘されていない3015人では、不眠の悩みを抱えているのは27%だったが、いずれかを指摘された3069人では33%で統計的に有意な差があった。さらに、3疾患すべてを指摘されながら治療を受けていない人では、46%が不眠を訴えていた。
また、調査で抑うつ状態と判定されたのは、3疾患のいずれも指摘されていない人では4%に過ぎなかったが、いずれかを指摘された人では6%、3疾患すべてを指摘されながら治療を受けていない人では11%に上っていた。
内村助教授は「生活習慣病と不眠の間には相関関係があるようだ。不眠はうつ病につながり、最悪の場合、自殺も考えられるので、生活習慣病の疑いのある人は、その治療を受けたうえで、精神科や睡眠専門外来も受診してほしい」と話している。

アルツハイマー:遊具が予防効果 米シカゴ大がマウス実験               mainiti  2005/04/04

アルツハイマー病のマウスを遊具付きのかごで飼育すると、病気の原因物質が脳内に沈着しにくいことが、シカゴ大などの実験で明らかになった。運動など生活環境がアルツハイマー病の進行を遅らせる可能性を示す世界初の成果で、「人間の発症予防につながる可能性がある」と専門家も注目している。研究はこのほど米科学誌「セル」に発表された。研究チームは、アルツハイマー病の生後1カ月のマウス16匹を、9匹は回し車やトンネルなど遊具付きのかご、7匹は遊具のないかごで、5カ月間飼育した。
アルツハイマー病は、脳内にベータアミロイドと呼ばれるたんぱく質が沈着するため神経細胞が死に、脳が萎縮(いしゅく)する。実験後、マウスの脳を調べた。遊具付きかごのマウスのベータアミロイド沈着量は、遊具がないマウスの約4割だった。特に運動量が多かった3匹の沈着量は、残りのマウスの約3分の1に過ぎなかった。さらに遊具付きかごのマウスの脳内では、ベータアミロイドを分解する酵素「ネプリライシン」の濃度が、遊具なしマウスのほぼ倍になっていた。脳内のネプリライシンは、加齢やアルツハイマー病の進行とともに減少することが明らかになっている。研究チームは「運動など刺激のある環境では、ネプリライシンが多く生成され、脳内のベータアミロイド分解が促進される」と分析している。アルツハイマー病研究に詳しい西道隆臣・理化学研究所神経蛋白制御研究チームリーダー談:「グループホームのように個々の高齢者に作業が割り当てられ、日常生活と同様の刺激がある環境で過ごすことが、アルツハイマー病の予防に役立つかもしれない。そうした期待を抱かせる興味深い実験結果だ」

見た目なんか悪くても…熟したバナナは免疫力UP           yomiuri 2005/04/03

見た目は多少悪くても、よく熟したバナナの方が免疫力を高める効果が大きいことが、帝京大薬学部の山崎正利教授らの実験でわかった。
山崎教授らはこれまで、バナナが果物の中でも特に免疫力を高める効果が高いことを明らかにしているが、今回は熟成の度合いと免疫力の関係を調べた。
青いバナナを、店で売る場合と同様にエチレンガスで熟成処理し、皮全体が黒っぽくなる10日目まで、成分抽出液をマウスの腹部に入れ、免疫をになう白血球の数や、免疫を強める生理活性物質の量を調べた。
その結果、日数がたったバナナほど白血球を増やす効果があり、10日目のバナナは、初日のバナナより白血球を5倍多くしていた。この日数は、お店で買ったバナナの「購入後8〜9日目」に相当するという。生理活性物質は、5〜7日目(店頭購入後4〜6日目)のバナナで最も増えていた。

妊娠中の酒・たばこは危険…赤ちゃん体重減に。  yomiuri2005/03/28 

妊娠中に母親がたばこをすったり、酒を飲んだりすると、赤ちゃんの出生体重が減少してしまうことが、国立健康・栄養研究所の滝本秀美・主任研究員らの分析で明らかになった。
出生体重が少ないと、乳児期の死亡率が高まるほか、成人後も生活習慣病になる危険が高まるとされており、研究者は「妊娠中の喫煙、飲酒は控えるべきだ」と訴えている。研究チームは2000年に実施された国の乳幼児発育調査データをもとに、単胎(胎児1人)で順調に生まれた赤ちゃん9120人について調べた。その結果、妊娠中の母親の喫煙率は10.0%、妊娠中に週3回以上酒を飲む習慣のある母親の割合は1.4%で、生まれた赤ちゃんの体重と対比させると、たばこが1日1本増えるごとに9.4グラム、飲酒習慣がある場合は70.5グラム減少する計算になった。喫煙で血中の一酸化炭素濃度が上昇し、胎児に十分な酸素が運ばれなくなるのに加え、母体でビタミンCなどが消費され、栄養分が不足するためという。

肥満防ぐたんぱく質…やせ薬開発や糖尿病改善も        yomiuri 2005/03/21

 肥満の予防に役立つたんぱく質を、慶応大と山之内製薬の研究グループがマウス実験で突き止めた。このたんぱく質は人間にもあり、やせ薬の開発につながると期待される。
慶応大医学部の尾池雄一講師らと山之内製薬分子医学研究所は2003年に、肝臓から分泌され、血管や皮膚の再生機能を持つ新しいたんぱく質を発見、AGFと名づけた。その仕組み解明のため、遺伝子操作でAGFを失わせたマウスを作ったところ、普通のマウス(平均30グラム)の2倍近い、約50グラムの肥満マウス(同左)になった。基礎代謝が低下し、内臓脂肪や皮下脂肪が多く、糖尿病の症状も現れた。逆に、AGFの量を約2倍に増やしたマウスを遺伝子操作で作り、高カロリーのエサを3か月間食べさせたが、約8グラムしか太らず、糖尿病にもならなかった。同じエサを食べた普通のマウスは、約24グラムも体重が増え、糖尿病を発症した。普通のマウスを1年間太らせた後で、AGFの分泌量を増やしたところ、肥満や糖尿病が改善されることが確認できた。

親の喫煙、子に「害」じわり…動脈硬化のリスク高まる        yomiuri 2005/3/20

 親が家庭でたばこを吸い、受動喫煙にさらされている子供は、動脈硬化を防ぐ善玉(HDL)コレステロールの値が低いことが、埼玉県熊谷市医師会の井埜利博医師らの研究でわかった。
成人後に心筋梗塞などを引き起こす危険が子供の時から高まることになり、特に母親の喫煙の影響が大きい。
同医師会は、小学4年の児童に行っている生活習慣病検診の際、親が喫煙しているかどうかを尋ね、子供の尿中に含まれるニコチン代謝物質の量を調べた。その結果、両親とも喫煙している子供の6割、一方の親が喫煙者の場合は3割に、受動喫煙の証拠となるニコチン代謝物質が検出された。子供に接する時間の長い母親が喫煙者の場合は、父親に比べ約2倍の影響があった。
尿中のニコチン代謝物質の量が多い子供ほど、血液中のHDLコレステロールが少なく、通常の子供より約1割低かった。たばこを吸うとHDLコレステロール値が低下し、心筋梗塞の恐れが高まることが知られているが、小児の受動喫煙でも同様の危険があることが裏付けられた。

糖尿病:進行させるたんぱく質、マウス実験で発見 神戸大2005/01/31

食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が原因の2型糖尿病は、「p27」と呼ばれるたんぱく質の働きを抑えれば改善することを、神戸大大学院医学系研究科の春日雅人教授らがマウスを使った実験で突き止めた。糖尿病が進むと、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が減少。p27がβ細胞の分裂にブレーキをかけているためとみられ、p27を抑える薬が開発されれば、β細胞の減少を食い止め、糖尿病を治療できる可能性があるという。31日の米医学誌「ネイチャー・メディスン」(電子版)に掲載される。
遺伝子操作で糖尿病にしたマウスのβ細胞を調べ、細胞分裂を抑える働きをすることが知られているp27が異常にたまっていることを見つけた。糖尿病で、生まれつきp27を作れない別のマウスと、糖尿病だけのマウスを比較すると、p27を作れないマウスの血糖値は4分の1で、正常に近かったという。 2型糖尿病は、過食や運動不足でエネルギーを消費しきれなくなって発症。初期段階では、ブドウ糖を筋肉などに取り込ませる働きをするインスリンの分泌も増え、高血糖とならないが、この状態が続くとβ細胞が疲弊し、糖尿病に至ると考えられている

リウマチの炎症、たんぱくにカギ 東大グループ解明 2005/01/24 asahi

関節リウマチなどの自己免疫疾患を引き起こす物質がつくられる仕組みを東京大学医学部の大学院生、柳井秀元さんと高岡晃教講師らのグループがマウスで見つけた。
この物質の分泌を抑える治療薬の開発につながると期待される。23日付の英科学誌ネイチャーに掲載される。
関節リウマチなどの原因物質は炎症性サイトカインとよばれる。ウイルスや細菌などの外敵が体内に侵入したとき、免疫反応の一環として血液中に一時的に分泌される物質で、本来は炎症を起こすことで体を守る働きがある。だが分泌が制御できずに炎症が進むと、自分の体もむしばみ、自己免疫疾患になる。
グループは、外敵侵入で最初に立ち上がる「自然免疫」システムに着目し、侵入から分泌までの仕組みを追った。侵入は細胞上のセンサーが察知するが、10種類あって担当する外敵が違う。センサーは侵入を察知すると信号を出す。グループは、信号を中継するとみられる、あるたんぱく質に注目した。遺伝子操作でこれを働かなくしたマウスをつくると、10種類すべての経路で、炎症性サイトカインをつくる遺伝子のスイッチが入らなくなった。
炎症性サイトカインは主に数種類知られ、その中には、働きを中和する抗体が開発され、治療で使われているものもあるが、グループの谷口維紹・東大教授は「このたんぱく質を働かなくする薬ができれば、炎症の根っこを抑えられる可能性がある」と話している。

コーヒー党に肝がん少ない 肝硬変防止の可能性も 東北大が6万人調査 2005/01/21

コーヒーを1日に1杯以上飲む人が肝臓がんになる危険性は、全く飲まない人の6割程度-。
東北大の辻一郎(つじ・いちろう)教授(公衆衛生学)らが21日までに、約6万1000人の追跡調査結果をまとめた。
大津市で開催の日本疫学会で22日発表する。
辻教授によると、コーヒーに含まれるどんな物質が作用するかはよく分かっていないが、
肝硬変の発症リスクを低下させる可能性があるほか、動物実験では成分のクロロゲン酸が肝臓がんの発生を抑制
したとする報告もあるという。
1984-97年に、40歳以上の男女を7-9年間追跡調査。計約6万1000人のうち、調査期間中に新たにがんになったのは117人だった。
年齢や性別などの要因を考慮して解析した結果、全く飲まない人の危険度を「1」とした場合、1日平均1杯以上飲む人は0.58、1杯未満の人は0.71だった。
がん以外の肝臓疾患を経験した人や60歳以上の人、過去に喫煙経験がある人では、こうした傾向が特に強かった。
   辻教授は「年齢や性別、飲酒状況などで分けて解析しても傾向は変わらなかった。ただし、コーヒーに砂糖などを入れすぎると体に良くないので注意してほしい」としている。

肥満でも数キロやせれば肝機能改善も ,順天堂大が解明             2005/01/12        yomiuri

肥満している人は、体重を数キロ減らすだけでも低下した肝機能などが短期間で改善する可能性の高いことが、順天堂大学医学部の河盛隆造教授らの研究でわかった。厳密な食事制限や激しい運動をしなくても、小さな目標達成が体調改善のカギ、という結果で、意志の弱いお父さんには朗報と言えそうだ。
研究では体重100キロ前後の30―40代の男性15人に、医師の指導のもと食事制限や運動を3か月行った。スタート時点では、全員が、体重を身長の2乗で割った体格指数(BMI)30以上という肥満体だった。結局、3か月かけて体重は平均6・5%、6・7キロ減ったが、一般的に25以上が肥満とされるBMIは、指導終了後も全員28以上のままだった。
ところが、検査数値は肝臓内の脂肪が平均で38%も減少。中性脂肪や肝機能の指標となるガンマGTPの数値も正常値に近づいた

毎日3合飲酒、がん発症1.6倍.喫煙者:飲酒量増えるほどがん発生率高まる  厚労省研究班調査            2004/12/25 asahi

お酒も連日飲み過ぎると、たまにしか飲まない人に比べ、1.6倍もがんになりやすくなることが、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の調査で分かった。
岩手、秋田、長野、茨城、新潟、高知、長崎、沖縄の8県に住む男女7万3千人を約10年間、調査。3500人が何らかのがんになっていた。飲酒量との因果関係をみると、日本酒換算で1日あたり2合(ビールで大びん2本、ワインでグラス4杯)程度を境に、がん発生率が高まり、飲まない日があり量も少ない「時々飲む」人に比べ、2〜3合で1.4倍、3合以上では1.6倍になっていた。
 喫煙が加わると、さらに危険は増す。「時々」の人に比べ、2〜3合で1.9倍、3合以上だと2.3倍に。喫煙しない人でも、のどや食道、肝臓がんなどは、酒量が増えると発生率が高くなる傾向が出たという。
同センター予防研究部の井上真奈美室長は「お酒を控えていたら、13%の人ががんにならなかったと推計された。がんを予防するには、たばこをやめ、お酒もほどほどに」と話している。

花粉飛散量、来春は最大30倍に yomiuri 2004/12/2 yomiuri

来春のスギとヒノキの花粉飛散量は、全国的に平年の1.5〜2倍に達し、花粉症の人にはつらい季節になりそうなことが、気象業務支援センターの村山貢司・専任主任技師の調査でわかった。
花粉の少なかった今春に比べ10〜30倍となり、1965年から始まった観測で最多だった95年春に匹敵する見込み。
村山さんによると、猛暑で雨が少ない夏の翌春は花粉飛散量が多くなり、さらにその前年が冷夏だと雄花の花芽数が飛躍的に増加する。
今年も、昨年の冷夏、今夏の猛暑で、スギとヒノキの花芽数が非常に多くなっていることが観察されている。村山さんは、夏の日照時間、降水量、気温と、NPO花粉情報協会の会員らから集めた花芽観察データを基に来春の花粉飛散量を予測。東京では花粉シーズン全体で、1平方センチ・メートルあたり計6280個(平年3530個)の飛散が見込まれるという

喫煙で乳がんのリスク4倍に 閉経前の女性調査 2004/11/30 asahi

閉経前の女性は、喫煙によって乳がんになるリスクが、たばこの煙を吸う機会がない女性の3.9倍に高まり、受動喫煙だけでも2.6倍になることが、厚生労働省研究班(津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の調査でわかった。
岩手、秋田、長野、沖縄の4県で、90年に生活習慣アンケートに答えた40〜59歳(当時)の女性約2万2000人を約10年間追跡調査し、180人が乳がんになった。
90年時点で閉経していたかどうかで分けて分析し、「受動喫煙」は、喫煙者と10年以上一緒に住んだことがあるか、職場などでほぼ毎日1時間以上たばこの煙を吸う機会がある、と規定した。
 津金部長は「受動喫煙の影響も予想以上に大きい」としている。
 一方、閉経後の女性では、喫煙や受動喫煙の影響ははっきりみられなかった。女性ホルモンが乳がんに関係するため、閉経前後で違いがでたらしい。喫煙の乳がんに対する影響調査は、これまで結果が分かれていたが、今回の大規模な追跡調査で影響が確かめられた。

アルツハイマー予防にリンゴ、毎日1個皮ごと食べると。  2004/11/18 yomiuri

毎日1個のリンゴが、アルツハイマー病など痴呆の予防に役立つ可能性がある。
こうした実験結果を米コーネル大などの米韓共同チームがまとめた。
新鮮なものを生のまま皮ごと食べる方が効果が期待できるという。
 研究チームによると、リンゴには高い抗酸化作用を持つ物質ケルセチンが多く含まれる。抗酸化物質には、アルツハイマー病の進行や脳細胞の老化などから、細胞を守る効果があるとされ、抗酸化力の高いケルセチンが特に注目されている。マウスの脳細胞を過酸化水素にさらした状態でケルセチンの効果を調べた実験では、抗酸化作用が高いとされるビタミンCよりも明確に高い効果が確認された。
研究チームは「人の体内での働きなどを慎重に分析する必要がある」とする一方、実験結果をもとにした目安として、「1日あたり少なくとも1個食

新たなたんぱく質発見 がん細胞の増殖防ぐ物質を破壊 2004/11/9 asahi

がん細胞のように細胞が増え続けないよう、増殖を抑えている物質を壊すKPCというたんぱく質を九州大生体防御医学研究所の中山敬一教授らが発見した。7日付の英科学誌ネイチャー・セルバイオロジーに発表した。がん細胞のKPCの働きを抑える物質が見つかれば、新しい抗がん剤の開発も期待できそうだ。
細胞が増殖し続けるがんでは、増殖を抑えるp27というたんぱく質の働きが鈍くなることから、がんの仕組みを解明するためにp27が注目されている。p27は、skp2という酵素によって分解されることは知られていたが、中山さんらはskp2がなくてもp27が壊れることをマウスの実験で見つけた。新たな物質を探し、KPCであることを突き止めた。
skp2は細胞が増殖の周期に入っている途中の段階で働くのに対し、KPCは細胞が休止から増殖に向かう早い段階で働くため、がん治療を考える上では、より重要という。KPCを作らないよう操作した細胞では増殖が止まることも確かめた。
中山さんは「KPCとp27の結合を止める薬でがんの進行を止めて、別の抗がん剤でがん細胞を殺す治療などができるようになる可能性がある」と話している。

特定酵素:働き抑えたらスリムに 糖尿病の効果期待       2004/10/19 mainiti

脂肪組織にある特定の酵素の働きを抑えると、体重が減り、血糖値も抑えられることを大阪大の下村伊一郎教授と竹田潤二教授らのグループが動物実験で突き止めた。糖尿病など生活習慣病の治療に結びつく可能性がある。
18日付の米医学誌「ネイチャー・メディシン」電子版に発表された。肥満になると量が増える「PTEN」という酵素に着目。脂肪組織の中でPTENが欠けているマウスを作り、食事を与えて実験した。その結果、PTENが欠けたマウスは、体が同じ大きさの正常のマウスより体重は約25%少なく、脂肪の大きさは約4分の1、血糖値も低かった。食事量は約20%多かったが、糖分を取り込むミトコンドリアが多く出来ており、エネルギーを活発に消費しているとみられる。
PTENはがんを抑制する働きもあるが、下村教授は「脂肪の中だけでPTENが働かないようにできれば、うまく代謝を図れるのではないか」と話している

男性の3割が肥満、深刻事態に厚労省も危機感            2004/10/19 yomiuri

 10年間で肥満男性を「4人に1人」から「6人に1人」に減らすことなど、具体的な数値目標を掲げた厚生労働省の健康政策「健康日本21」で、肥満や飲酒など少なくとも20項目について、目標を設定した2000年当時より数値が悪化していることが18日、分かった。
男性の肥満は「3人に1人」に迫りつつある。10年計画の中間点となる現時点で、目標に近づくどころか逆に離れつつある深刻な事態に、厚労省は危機感を募らせている。
「健康日本21」は、がんや糖尿病などの生活習慣病の予防を目指し、厚労省が国民向けに食生活や運動、休養など9分野、計70項目の目標値を設定。2010年までの10年計画で、「塩は1日に10グラム未満」といった細かい目標を示し、話題となった。肥満者の割合は、男性(20―69歳)が24%から15%まで、女性(40―69歳)が25%から20%まで下げる目標だが、今回、厚労省が中間値をまとめたところ、男性が29・4%、女性が26・4%と肥満が進行。日本酒で1日3合以上を飲む「多量飲酒」も、男性では4・1%から3・2%まで下げる目標に対し、7・1%にまで増えていた。

中高年男性のがん、3割は喫煙が原因?…厚労省調査         2004/10/02   yomiuri

 中高年男性のがんの3割は喫煙が原因となっている可能性の高いことが、厚生労働省研究班の大規模調査でわかった。
研究班は、1990年から93年に40〜69歳だった男女9万2790人について、がんにかかったかどうかを喫煙習慣とともに約9年間にわたり追跡調査した。
調査が終わる2001年末までにがんになったのは約5000人。男性の52・2%、女性の5・6%が、調査終了時にたばこを吸っていた。
調査開始から継続してたばこを吸っていた人ががんになった割合は、吸わない人に比べ男性で1・64倍、女性は1・46倍に達した。調査終了時に禁煙していても、男性は吸わない人より1・47倍がんになりやすく、過去の喫煙の影響がぬぐいきれないこともわかった。これらの数字をもとに、喫煙が原因でがんになった人の割合を推定すると、男性は29%、女性では2・8%となった。研究班は、「結果を日本人全体にあてはめると、喫煙習慣がなければ、9万人ががんにならないで済んだ可能性がある」と説明している。

がんのリンパ節転移、ネズミ使い抑制に成功    京大       2004/10/01 yomiuri

がん細胞は、自分でリンパ管を新しく作って「転移」するが、京都大大学院の久保肇・特任助教授らのグループが、「リンパ管新生」と呼ばれる、この現象を抑えて転移を防ぐことに世界で初めて成功し、福岡市で開会中の日本癌(がん)学会で報告した。がん細胞は、新しいリンパ管を通じて小さな細胞が運ばれ、リンパ管などが密集するリンパ節に転移する。この過程では、リンパ管を増やすVEGF―Cという特殊な物質を分泌する。
研究チームは、リンパ管がこの物質を受け取って増殖しないようブロックする「抗体」を合成し、胃がんの細胞をネズミに移植して実験。抗体を使わなかったネズミでは16匹中12匹(75%)の高率でリンパ節に転移したのに対し、抗体を使ったネズミは16匹のうち3匹(19%)しか転移しなかった。

乳腺密度が高い人の乳がんリスク3〜4倍 学会で発表 2004/10/01 asahi

乳房の乳腺密度が高めの人はそうでない人に比べ、乳がんになるリスクが3〜4倍高いらしいことが、永田知里・岐阜大助教授(疫学・予防医学)らの調査で明らかになった。導入が進む乳房X線撮影(マンモグラフィー)を使った検診で乳腺密度が高いことが分かれば、予防や早期発見につなげられそうだ。30日、福岡市で開催中の日本癌学会で発表された。
2000〜2002年に岐阜市内の病院で乳がんと診断された146人と、検診で乳がんが見つからなかった659人を対象に、マンモグラフィーの画像をコンピューター処理し、乳腺密度を測った。
乳腺の密度が高い部分が50%以上ある人は、高い部分が全くない人に比べ、乳がんになるリスクが閉経前の女性で3.27倍、閉経後の女性で3.99倍高かった。密度が1%増えるにつれ、リスクは閉経前の女性で0.7%、閉経後の女性で2%上昇した。

食欲抑える脳内物質確認 久留米大 2004/09/27 asahi

食欲を抑えて肥満を防ぐ役割を果たす物質が新たにわかった。この物質を体内で作れなくなったマウスは、餌を食べ過ぎて体重が大幅に増えてしまう。人間も同じ物質を持っており、肥満の解明や治療薬の開発につながる成果という。久留米大分
子生命科学研究所の児島将康教授、花田礼子助手らが26日付の米医学誌ネイチャー・メディシン電子版に発表する。
  この物質はニューロメジンU(NMU)と呼ばれ、アミノ酸が連なったペプチドの一種。
 NMUを作らないように遺伝子操作したマウスで実験したところ、生後32週の時点で正常なマウスに比べて平均体重が35%も重くなった。体の脂肪の割合も、正常で20%だったのが、52%に増えていた。餌を食べる量は正常より33%多く、血糖値や総コレステロール値も高くなり、人の生活習慣病に似た状態だった。
 肥満抑制物質としては約10年前に米国の研究者が見つけたレプチンが有名。やはり、食欲を抑える働きがある。京都大が糖尿病患者にレプチンを使う臨床研究をするなど世界中で研究が進んでいるが、レプチンが効きにくい患者もいて、実用化にはつながっていない。
レプチンが脂肪細胞から分泌されるのに対し、NMUは脳内で働く神経ペプチドで、レプチンとは独立して作用する物質と考えられる。このため、レプチンとは別の治療法の開発に結びつく可能性があるという。

魚よく食べると乳がんリスク4割減 文科省研究班調査 2004/09/17 asahi

魚を多く食べる人はあまり食べない人に比べ、乳がんにかかるリスクが4割以上低いことが、文部科学省の研究班の調査でわかった。魚に含まれる脂肪の成分で、脳の働きをよくすると言われるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)の働きによるものらしい。29日から福岡市で開かれる日本癌(がん)学会で発表される。
  DHAやEPAは動物実験では、がんの抑制効果があることが確かめられている。だが、人間での効果はこれまではっきりしなかった。
研究班は88〜90年に、全国の40〜79歳の女性約2万5400人を対象に、魚をどのぐらいの頻度で食べるかなど食生活についてアンケートした。その後7年半にわたって健康状態を追跡したところ、127人が乳がんになった。
魚に含まれる魚介性脂質に注目した場合、魚を「週1〜2回以下」とあまり食べないグループに比べ、「ほとんど毎日」食べるグループは、乳がんの発生率が43%低かった。植物性脂質の摂取量は関連性がなかった。
調査を分析した愛知県がんセンター研究所の若井建志・がん予防研究室長は
「脂肪の摂取量が多いと乳がんにかかりやすいと言われるが、魚に関しては逆のことが言える。日本人の乳がん罹患(りかん)率が欧米に比べ低いのは、魚を多く食べることも関係あるのでは」と話している。

くも膜下出血のリスク、喫煙で約3倍増 厚労省研究班2004/08/27 asahi

たばこを吸う人は吸わない人に比べ、脳卒中の中でも、血管が破れるくも膜下出血の発症リスクが3倍程度高くなることが、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の調査で分かった。脳卒中全体でも喫煙者の方が発症率が高かった。90年に生活習慣アンケートに答えた40〜59歳(当時)の男性約2万人、女性約2万2000人について、その後11年間を追跡した。期間中、男性は702人、女性は447人が脳卒中を発症。そのうち男性73人、女性106人がくも膜下出血だった。喫煙との関係を調べると、たばこを吸う人は吸わない人に比べ、男性で3.6倍、女性では2.7倍なりやすかった。1日に吸う本数が19本以下でも20本以上とほぼ同様にリスクが高まっていた。
また、脳の血管が詰まって発症する脳梗塞(こうそく)などを合わせた脳卒中全体でみると、喫煙による発症リスクは、男性が1.3倍、女性が2倍で、女性の方が影響を受けやすい傾向がみられた。研究をまとめた万波俊文・香川大助教授は「吸う本数を減らしても予防にはならない。きっぱりやめることが脳卒中を防ぐには大切だ」と話している。たばこの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素などの有害物質は、血管の壁を傷つけて動脈硬化を促進したり血管を狭めたりする。脳内の血管もダメージを受け、脳卒中が引き起こされると考えられるという。

夕食1時間半後の入浴で睡眠の質改善…学会で発表へ

2004/07/02 yomiuri

 入浴するとよく眠れると言われるが、夕食後1時間半前後に風呂に入り、体の芯(しん)まで温まる入浴法が、睡眠の質を最も改善することが、足利工業大学睡眠科学センターの小林敏孝教授らの研究でわかった。東京都内で開かれている日本睡眠学会で2日、発表する。
小林教授らは、寝つきの悪い学生ら5人に、それぞれ38度、40度、42度の3通りの温度の風呂に、半身浴してもらった。入浴時間(5〜10分)や、入浴時間帯を変えながら1か月間続け、寝つくまでの時間、睡眠の深さ、直腸の深部体温、皮膚温なども測定した。
その結果、夕食後1時間半前後、つまり食後に上昇した体温がピークを迎える時に入浴し、直腸の体温が0・5度―1度上昇した場合、睡眠までに30分以上かかっていた寝つきの悪い学生でも5分から15分で入眠するなど、顕著に改善することがわかった。さらに全被験者で、〈1〉眠りの深さを示す脳波が睡眠の前半に集中するようになる〈2〉睡眠途中に目覚める覚醒(かくせい)の回数が減少する――なども明らかになった。体温は夕刻から宵にかけて上昇のピークを迎える。入浴で体温を上げると、体温の低下が加速され、入眠がうまくゆくという。
入浴の適温や時間に個人差はあるが、小林教授は「直腸温が0・5度上がると体の芯からぽかぽかする。入浴後2―3時間で睡魔が来るので、その時すぐに床につくことがこつ」と話している。


歯周病が糖尿病引き起こす可能性 九州大が調査 2004/06/20 asahi

歯周病が糖尿病を引き起こす可能性のあることが、福岡県久山町の住民を対象にした九州大学の調査で分かり、国際歯科研究学会の雑誌6月号に掲載された。糖尿病患者が歯周病になりやすいことは知られていたが、歯周病が全身の病気に及ぼす影響が疫学調査によって明らかになってきた。調べたのは、九州大病院口腔(こうくう)ケア・予防科の斎藤俊行講師らで、血糖値に異常があり糖尿病と診断される一歩手前の「境界型」に注目。同病院が疫学調査を続けている久山町の住民のうち88年の健診で血糖値が正常だった406人について、98年の健診で血糖値の推移と口の健康状態を調べ、歯周病のある人が境界型になりやすいかどうかを分析した。98年に境界型と診断されたのは72人。血糖値の悪化にかかわるとされる肥満度や運動習慣といった要素が影響しないように計算すると、中程度の歯周病がある人はない人よりも2・1倍、重度の人だと3・1倍、境界型になりやすかった。歯周病は、主に細菌が歯と歯茎のすき間などにたまって起こり、放置すると歯を支える骨が溶けることもある。歯周病が続くと、細菌が血中に入り込み、血糖値を下げるインスリンの働きの邪魔をするとされている

血糖値下げる乳酸菌、研究者が発見 薬などへの応用期待 2004/06/14 asahi

血糖値を下げる効果がある乳酸菌を、東京の民間研究者が発見した。元々人間の腸内から見つかった菌で、食べたり飲んだりしても副作用の心配がないという。健康食品や糖尿病薬への応用が期待されそうだ。17日から東京で開かれる日本基礎老化学会(会長=後藤佐多良・東邦大教授)で発表される。発見したのは、河合乳酸球菌研究所(東京都港区)の河合康雄社長。元ヤクルト中央研究所の主席研究員だ。約1万5000種類の菌株から有望そうなものを選び、糖尿病を発症するマウスに、食事以外に乳酸菌の菌体80ミリグラムを1日3回80日間与え続け、食事しか与えなかったマウスと比較した。
その結果、2種類の菌で大きな効果が表れ、80日後の血糖値が食事だけだったマウスより37〜39%低かった。河合さんによると、この菌でヨーグルトをつくることもできるが、菌が他の企業などに流出してしまうので考えていない。菌体を混ぜることは考えられるとしている。これらの菌を使えば手軽で安全な糖尿病予防・改善薬を作れる可能性があるとして、特許を申請している。厚生労働省の調査によると、糖尿病患者は年々増え続け、02年には740万人。予備軍まで入れると1620万人に達している。河合さんは84年には、血中のコレステロール値を下げる乳酸菌を発見し、乳酸菌ブームのきっかけをつくった。

アロマセラピーのマッサージがうつ病治療に効果 2004/05/23 asahi

植物から抽出した芳香性のオイルで体をほぐすアロマセラピーマッサージがうつ病の治療に効果があることが、京都府立医大の今西二郎教授ら微生物学と精神科のグループの研究でわかった。抗うつ薬などを使う治療の補完療法として期待される。軽症のうつ病と診断された31〜59歳の患者5人に昨春から秋にかけて、1回30分のアロママッサージを週2回ずつ4週間実施し、変化をみた。
うつ状態の程度をみる「ハミルトンうつ病評価尺度」(数字が大きいほど重症、10ポイント以下でほぼ解消)の数値を比べると、5人の平均は当初14.8だったが、マッサージ後は正常と変わらない8.8に下がった。認識や思考の障害程度を示す別の数値も改善されていた。うつ病患者には大脳の前頭葉の血流や代謝の低下がみられるが、前頭葉機能が回復に向かっている可能性を示すテスト結果も出たという。国内のうつ病患者は数百万人ともいわれ、抗うつ薬の副作用に悩む患者も少なくない。今西さんは「エステとしてだけでなく、西洋医学を補う医療としてのアロマセラピーにも目を向けていただきたい」と話している。

糖尿病に劇症型 学会が実態調査 2004/05/19 asahi

糖尿病のなかに突然発症して急速に重症化する劇症型があり、数日で死亡した例もあることが、日本糖尿病学会の初の実態調査で分かった。インスリンを体内で作れない1型糖尿病を新たに発症した患者のうち、2割が劇症型だった。学会は風邪や胃腸炎に似た初期の症状を見誤らないために、少しでも疑いがある場合は血糖値を測るよう、開業医や救急医らに注意を呼びかけている。劇症型は、1型糖尿病の一種で、糖尿病歴のない人が突然発症する。学会の調査委員会が、1型糖尿病を多く診ている7都府県の10医療機関を対象に、91年から10年間の新規発症患者を調べた。その結果、222人のうち約2割、43人が劇症型だった。
全国の医療機関に劇症型の報告を求めたところ、118症例が寄せられた。25歳の男性は昏睡状態で救急搬送され、病院到着後約40分で亡くなった。吐き気や胃痛の症状が出た2日後だった。ほかにも劇症型で死亡したとみられる患者が4人いるという。
通常の1型糖尿病の発症は小児に多いが、劇症型は9割が成人だった。最初にのどの痛みなど風邪に似た症状があった人、吐き気や腹痛など胃腸炎に似た症状があった人が、ともに7割。血糖値が急速に上がり、のどが渇くなどの症状が出た後、平均4・4日で意識障害などに陥っていた。
劇症型は、調査委メンバーの花房俊昭・大阪医科大教授らが00年に初めて報告した。原因は分かっていないが、遺伝的な背景とウイルス感染などが重なり、膵臓(すいぞう)内のインスリン分泌細胞が数日でほとんど壊れて起きる、との見方が有力だ。愛媛県内で独自に実施した調査で、劇症型の患者は全国で4000〜1万人以上と推計している。

◇〈糖尿病〉 血糖値を調整するインスリンが欠乏する病気。インスリンを分泌できない1型と、肥満や運動不足が引き金となってインスリンの出や効きが悪くなる2型などがある。国内患者は約700万人で、95%が2型。劇症型を含む1型はインスリン投与が治療の基本。

脳の神経細胞が「窒息状態」 アルツハイマー仕組み解明 2004/04/17

老人性痴呆の一つ、アルツハイマー病にかかった人の脳では、神経細胞が「窒息状態」に追い込まれて次々に死んでいくことが、田熊・金沢大助教授らの研究で分かった。新しい治療法の開発につながる可能性もあるという。16日付の米科学誌サイエンスに掲載される。 この病気になった人の脳にはベータアミロイドというたんぱく質がたまりやすく、記憶などにかかわる神経細胞が死ぬことが知られているが、どのように死ぬかはよく分かっていない。田熊さんと米コロンビア大などのグループは、神経細胞の中にあるミトコンドリアという器官に注目。ここに、ベータアミロイドとABADという酵素が一緒に存在することを見つけた。試薬を使ってこの二つがくっつかないようにすると、神経細胞の死ぬ割合が大幅に減ることがわかった。ミトコンドリアは酸素を使って細胞が働くエネルギーをつくる。二つがくっついて、ミトコンドリアの呼吸活動を邪魔しているらしい。田熊さんは「二つがくっつかなくするような薬ができれば、病気の進行を防げるのではないか」と話す。


糖尿病になりやすい体質、遺伝子で突き止め 2004/03/15 asahi

米国立保健研究所(NIH)は11日、中年以降に発病することが多い2型糖尿病になりやすい体質を遺伝子レベルで突き止めたと発表した。DNAがわずかに違うだけで30%もリスクが高まるという。 NIH・国立ヒトゲノム研究所とフィンランド国立公衆衛生研究所などが、フィンランドの2型糖尿病患者793人と、糖尿病でない413人について遺伝情報(ゲノム)を詳しく分析した。 その結果、糖尿病患者には、20番染色体の特定の遺伝子の4カ所で、塩基の並び方が一つだけ異なる(一塩基多型)人が目立った。別のチームがイスラエルの617人のゲノムを調べても同じ結果だった。 この遺伝子はインスリンをつくる膵臓(すいぞう)の細胞で重要な働きをしている。塩基の並び方の違いがあると、インスリンの分泌に異常が起きやすくなるらしい。国立ヒトゲノム研究所のコリンズ所長は「これだけで発病するわけではないが、肥満や運動不足になると危険性が高まる」と話す。 1型糖尿病は子供や若い時期に発病しやすいのに対し、2型糖尿病は中年以降に発病することが多い。日本人の糖尿病患者の約9割は2型。

乳がんリスク、抗生物質の頻用で2倍に 米研究チー

2004/02/18 asahi

抗生物質を頻繁に使う女性は、そうでない女性に比べ乳がんになるリスクが最大2倍を超えるという大規模な調査の結果を、米ワシントン大などの研究チームがまとめた。米医師会誌18日号で発表する。理由はよく分かっていないが、抗生物質の乱用に警鐘を鳴らす結果といえそうだ。 米ワシントン州のがん検診のデータを利用し、乳がんが見つかった2266人と、乳がんではなかった7953人について、過去の処方記録などから抗生物質の使用頻度を調べた。 抗生物質の使用経験がある女性を使用日数ごとに分け、未使用の女性と比べると、乳がんのリスクは1.45倍(1〜50日使用)〜2.14倍(501〜1000日使用)になっていた。使用頻度が高かった人ほど、乳がんによる死亡率も高い傾向があった。 抗生物質が、腸内細菌に悪影響を及ぼして有害物質が体内に吸収されやすくなったり、免疫系のバランスを崩してがんが抑えられなくなったりすることが考えられるという。 研究チームは「抗生物質が、必ずしも必要でない場合まで使われるのは気がかりだ」と指摘し、それをやめれば、乳がんの一部は防げるかもしれないとしている。

  2歳までのテレビ控えて 日本小児科医会が提言
2004/02/10

日本小児科医会は六日、テレビやゲームなどメディアとの長時間の接触が子供の心身の発達に悪影響を及ぼしているとして2歳までのテレビ、ビデオ視聴を控え、それ以降もメディア接触は1日2時間までを目安とするなどの提言を発表した。保科清副会長は「メディアの影響を受けすぎた子供たちがだんだん増え、医療現場でも問題になっている」と今回の発表の背景を説明した。提言は、画像メディア接触の低年齢化、長時間化が外遊びの機会を奪って、人とのかかわり不足を招き、特に象徴機能が未熟な2歳以下の子供の言葉や心の発達を妨げると指摘。暴力映像を長時間見ることが後年の暴力的行動や事件に関係しているのは明らかな事実、としている。
さらに「授乳中、食事中のテレビ、ビデオの視聴はやめる」「テレビゲームは1日30分が目安」などを挙げている。
小児科医に対しては、メディア歴を問診票に組み入れ、一般診療や就学時検診の場で利用したり、病棟に絵本やおもちゃを整備したりすることも提言している。日本小児科医会は、全国の小児科、内科などの医師約七千人が会員で、小児医療の充実などを目的に活動する社団法人。


人間の脳内にアルツハイマーの原因物質除去する仕組み2004/02/02yomiuri

アルツハイマー病の原因とされるたんぱく質「ベータアミロイド」の沈着を除去する仕組みが、人間の脳の中にも存在することを、東京都精神医学総合研究所の秋山治彦研究部門長らが初めて確認した。
この仕組みを利用すれば、アルツハイマー病の新しい治療法につながると期待される。米科学誌「ネイチャー・メディシン」2月号に発表する。研究グループは、病気などで亡くなったアルツハイマー病患者らの脳を分析。70歳代の男性患者の脳の一部で、沈着しているはずのベータアミロイドが消えているのを見つけた。この場所では、血管の一部が詰まった影響で、死んだ細胞などを片付ける脳の免疫細胞「ミクログリア」の働きが活発化しており、ミクログリアによって沈着が取り除かれたらしい。ワクチンなどでこの免疫細胞の活性を高められれば、アルツハイマー病の治療に使える可能性がある。
★ベータアミロイド=脳の中で合成されるたんぱく質の一種。役割はよくわかっていない。正常な脳では酵素によって分解されるが、何らかの原因で分解が進まず蓄積すると、アルツハイマー病を発症すると考えられている。

イクラや塩辛、毎日食べると胃がんに?男性の発症3倍2004/01/11 yomiuri

イクラや塩辛など、塩蔵魚介類をほぼ毎日食べる人は、ほとんど食べない人に比べ男性で約3倍、女性で約2.5倍も胃がんになりやすいことが、厚生労働省研究班による4万人追跡調査でわかった。 俗に「塩辛い食事は胃がんのもと」とされるが、それを裏付けるデータと言えそうだ。成果は英医学誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー」最新号に発表した。 研究班は、1990年から10年間、国内の40―50代の男女を対象に、食事や喫煙などライフスタイルと、がん発生率の関連を調査。塩分を10%程度含む塩辛やウニといった塩蔵魚介類のほか、イクラやタラコなどの魚卵などをどれくらい食べているか聞いた。その結果、こうした食品をほぼ毎日食べる人は、「ほとんど食べない」人に比べて、男女とも胃がんのなりやすさは高かった。 また、食事での食塩摂取量で、5グループに分けて調べたところ、男性では、摂取量が最も少ないグループ(1日あたり2.9グラム)の胃がんのなりやすさを基準にすると、摂取量が最も多いグループ(1日あたり9.9グラム)の危険度は2倍だった。

*2003年ニュース

*2002年ニュース

*2001年5〜12月ニュース

*2001年1〜4月ニュース
*2000年9〜12月ニュース
*2000年7.8月ニュース
*2000年3.4.5.6月ニュース
*2000年2月ニュース
*12月1月分ニュース
*10月11月分ニュース
*9月分ニュース
*8月分ニュース
*7月分ニュース


toppage