●寝たきり予防に筋力体操 yomiuri 2002/12/09
お年寄りが寝たきりにならないようにと、東京都荒川区と、地元の都立保健科学大(同区東尾久7)が共同で「転倒予防体操」を“開発”した。実際にお年寄り約20人が1か月半の間、この体操を試した結果、筋力がアップするなどの効果が現れたという。 最終日には、効果を調べるために体力測定が行われた。山田助教授は「全体的に、筋力やバランスの能力がアップした。予想よりいい結果だった。普段の体力作りが、転倒を防ぐ最も効果的な予防法だ」と話す。今後、1人1人にどの程度、効果があったのか、詳しく分析するという。 参加者の1人、宮脇元代さん(70)は、「自転車に乗っていても、危ない時にすぐに停止できるようになり、判断と反応が速くなった気がする。夫にも教えてあげたい」と、うれしそうに話していた |
●脂ののった魚介類、ダイオキシン高め 水産省 asahi 2002/12/02
脂が多かったり、大都市周辺で取れたりした魚介類は、ダイオキシン類濃度が高いことが水産庁の調査で分かった。国の定めた安全基準(TDI)を大きく上回る魚種もあった。日常生活で口にする機会が多い魚介類を調査対象にしているため、濃度が特に高かった魚種については、追加調査で原因や汚染状況を突き止めることを検討している。 調査はダイオキシン類の食品影響に対する国民の関心に応えるため、水産庁が99年度から実施。これまでに93種の結果がまとまった。 漁獲量と輸入量が多い魚種が対象。同じ魚種でも海域を分け、食べられる部分のダイオキシン類濃度を調べた。 海域別でダイオキシン類濃度が高かったのは東京湾、大阪湾、瀬戸内海といった大都市周辺で取れたコノシロやタチウオ。アナゴなど主に湾内にとどまって生息している魚種も高めだった。 脂の多いマグロ類やブリも同様。最も高かったのは米国東海岸沖で取れたクロマグロ。体重50キロの大人が毎日20グラム(刺し身で2切れ程度)を生涯、食べ続けるとTDIを超えることになる。脂分を増やすため、いけすで飼ってから輸入されたとみられているが、確認はされていない。 逆にバカガイやスルメイカ、マダコは脂が少なくダイオキシン類濃度が低かった。カニは脚肉は低かったが、甲羅内のミソが北陸沖、山陰沖のズワイガニやベニズワイガニで高い値を示した。 同じ魚種、同じ海域でも、年によって濃度が異なる事例がいくつかあった。全体の濃度の平均は1グラムあたり0.748ピコ(ピコは1兆分の1)グラムで、日本人が日常の生活で体内に取り込んでいるダイオキシン量を大幅に下回った。 同庁漁場資源課は「以前から指摘されていたことが裏付けられた結果となった。バランスよく食事を取れば健康面の心配はない」と説明している。 魚に対するダイオキシン類濃度調査は環境省も実施したことがあるが、海域別や魚種別などを含む細かい調査は初めて。 <TDI> ダイオキシン類を含んだ食品を一生涯、毎日食べ続けても健康に影響しないとされる1日の耐容摂取量。体重1キロあたり4ピコグラムまで。厚生労働省の調査だと、日本人が1日に平均して食品や空気から取り込んでいるダイオキシン量は体重1キロあたり1.5ピコグラム。 発がん性が指摘されるダイオキシン類は水に溶けにくく、脂に溶けやすい性質がある。ごみの焼却などで生じ、河川を通じて、海に流入していると考えられている。 |
● ぜんそくとアトピー、関与遺伝子を特定…京大教授ら
2002/11/17 yomiuri
ぜんそくとアトピー性皮膚炎に関係する遺伝子の個人差を、白川太郎・京都大医学研究科教授、玉利真由美・理化学研究所研究員らが発見した。アレルギー疾患でこのような個人差が見つかったのは世界で初めて。発症予防や治療法の開発につながると期待される。DNAの遺伝情報は、4種類の塩基を「文字」にして書かれており、人により塩基の1つだけが通常と異なる「SNP」(一塩基多型)の探索を理化学研究所などが進めている。 白川教授らは、ぜんそく患者約100人の協力を得て、約9万か所のSNPについて、病気の有無との関連を調べた。その結果、多くの患者で30―40か所に変異がみられ、発病と関係があると考えられた。また患者のうち約50人はアトピー性皮膚炎も発症しており、こちらに関連が深いとみられるSNPも数か所みつかった。 |
●子どもの花粉症発症、親世代の2倍に 日本医大調査 2002/11/01 asahi |
15歳までに花粉症になる子どもは、親が子どもだったころの2倍に増えている−−。日本医科大の大久保公裕・助教授(耳鼻咽喉(いんこう)科)がこんな調査をまとめた。花粉症の低年齢化が裏付けられた形だ。1日から盛岡市で開かれる日本小児アレルギー学会で発表する。 大久保さんは今年3月、東京、大阪、名古屋、福岡など都市部で働く大人958人と、その子ども1285人の協力を得てアンケートした。 親の世代(平均年齢43歳)で、花粉症などアレルギー性鼻炎の症状がある人は51.4%。子どもたち(同12歳)では23.7%だった。 このうち花粉症にかぎって、発症した年齢を尋ねたところ、「15歳まで」と答えた人は親の世代では約5%だったのに対し、子どもの場合には約10%と倍になっていた。 大久保さんは「花粉の飛ぶ量が増えたことや気密型の住居の増加などが低年齢化の原因と考えられる。こうした状況が続けば次の世代に倍々ゲームで増えていく可能性がある」と話している。 |
●女性ホルモン、肝障害を促進 2002/10/23 Nikkei
同じようにお酒を飲んでも女性が男性よりアルコール性肝炎や肝硬変になりやすいのは、女性ホルモンの作用がかかわっていることを佐藤信紘・順天堂大教授(消化器内科)らがラットの実験で23日までに突き止めた。 女性ホルモンのエストロゲンが、アルコール摂取で作られる肝臓内の炎症性物質を増やすことを解明。佐藤教授らは、この作用を防いで肝臓病を予防、治療する方法を研究している。 女性が男性よりアルコールに敏感な理由として、一般に体が小さくて肝臓も小さいことや、ホルモンの影響が指摘されている。 佐藤教授らは、アルコールで活性化された腸内細菌が作る毒素エンドトキシンが、肝臓で代謝されるメカニズムに着目。これまでに、肝臓のクッパー細胞がエンドトキシンを分解する一方で、炎症を起こすサイトカイン(TNF―?)と呼ばれる物質を分泌し、周囲の肝細胞を壊すことを解明した。 |
●リウマチの“国産新薬” 2002/10/22 yomiuri
関節リウマチの新薬開発に大阪大健康体育部(免疫内科)の吉崎和幸教授、西本憲弘助教授らが成功し、臨床試験(治験)で有効性を確認した。有望な“国産新薬”の登場は異例で、70万人と言われる患者に朗報となりそうだ。
輸入薬に席巻される日本の医薬品開発にとっても意義は大きい。治験結果は24日から米国で開かれる米リウマチ学会で発表される。 リウマチは、関節を包む滑膜(かつまく)が炎症を起こし、痛む病気。この炎症は、免疫にかかわる生理活性物質「インターロイキン(IL)―6」が、滑膜の細胞の表面にある受容体に取りつくことで起きることを、岸本忠三学長(当時細胞工学センター教授)らが発見した。吉崎教授らは、この受容体に「ふた」(抗体)をして、炎症や病状進行を抑える新薬「MRA」を開発した。 治験では、164人の患者を対象に、MRAを体重1キロ当たり8ミリ・グラム、4ミリ・グラム、薬効のない偽薬をそれぞれ投与する3グループに分け、効果を比較。12週間後、痛む関節の数が減るなど改善した患者は、8ミリ・グラム投与群で78%、4ミリ・グラムは57%で、偽薬の11%より高く、従来薬の20―60%と同等以上だった。 副作用としては、風邪など軽い感染症にかかった患者が2割ほどいた。来年初めにも最終段階の治験を行い、2005年ごろの発売を目指す。 リウマチ治療薬を巡っては、次世代の主役と期待される「抗体医薬」の開発競争が繰り広げられている。免疫の関連物質を使って特定の細胞を狙い撃つ薬で、MRAもその一つ。 吉崎教授は「寝たきりにつながる足の関節破壊は、従来薬では防ぎきれなかったが、この新薬なら予防可能になる」と話している。 |
●「喫煙死」1時間に560人 2002/10/16 yomiuri
世界保健機関(WHO)は15日、世界で年間490万人が、喫煙が原因で死亡しているとの推計を発表した。世界で1時間に560人、1日で1万3400人がたばこを原因とする肺がんや結核などのため死んでいる計算になる。
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●リンゴに花粉症などアレルギー症状を抑える効果 2002/10/03 asahi
リンゴに含まれる水溶性食物繊維ペクチンにアレルギー症状の原因物質を減らす効果があるとする試験結果を、独立行政法人の農業技術研究機構果樹研究所(茨城県つくば市)の田中敬一品質化学研究室長らがまとめた。13日から熊本市で開かれる園芸学会で発表する。
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●「やせの大食い」解明 体の脂肪を燃やすたんぱく質発見
2002/10/02 asahi
実際に運動しなくても軽い運動をしたときと同じように体内の脂肪を燃やす役目をするたんぱく質が動物実験で分かった。このたんぱく質を多く作るネズミは「やせの大食い」になる。京都大大学院生命科学研究科の垣塚彰教授や大阪バイオサイエンス研究所のグループが3日から京都市で始まる日本肥満学会で発表する。肥満を楽に解消できる薬の開発につながりそうだ。
ERRL1ネズミは脂肪細胞が少ないため、そこから分泌されて食欲を抑えるホルモンの血中濃度が低く、これが大食いの原因と考えられる。ネズミの細胞で調べたところ、ERRL1は細胞内の核に「脂肪を燃やす酵素をたくさん作れ」という信号を伝えていた。 体内のERRL1を増やす刺激を探した結果、軽い運動が一番の刺激だとわかった。ネズミを分速15メートルで約2時間歩かせると、骨格筋を中心に通常の約1.5倍のERRL1が作られた。 垣塚教授は「なぜ運動が肥満防止に有効なのかがERRL1の働きでうまく説明できる。ERRL1を増やせば運動と同じ効果をもたらす。運動をせずにその効果が得られる肥満防止薬の開発も夢ではない」と話す |
●大人の脳神経、光の刺激で訓練可能 渡邊米大教授ら発見 2002/09/30 asahi
大人になってからは変化しないとされてきた脳神経の視覚にかかわる基本回路が、光の刺激を繰り返すことで変わることを、渡邊武郎・米ボストン大教授らが見つけた。米国の神経科学専門誌ネイチャー・ニューロサイエンスに発表する。無意識のうちに見ているものを学習する能力が、大人でも予想以上に維持されるようだ。 81年にノーベル医学・生理学賞を受けた米国のヒューベル博士らは、子ネコの片目をある時期ふさいだままにしておくと、後に光の刺激を与えてもその目で物を見られなくなることを発見した。以来、子どもの頃に光の刺激によって脳神経回路が完成する時期があり、そこでできた回路は変化しないとされてきた。 渡邊教授らは19歳以上の実験協力者に、コンピューター画面に表示される文字などを注視するよう指示したあと、同じ画面上で多数の点を動かした。協力者に点を意識させないようにして、脳の視覚領域の基本回路を刺激するのが狙いだ。 刺激の後、点の動く方向を読みとるテストをしたところ、正確さが刺激前に比べ高まった。しかもその効果は4〜6カ月持続した。変化しないとされてきた脳の基本的な神経回路に変化が起きた証拠といえる。 「外界からの刺激を最初に処理するような神経回路は大人になっても柔軟性があり、受け身的な学習が可能だということがわかった」と渡邊教授はいう |
●がんワクチン、約3割に効果 臨床試験第1段階 2002/09/30 asahi
体が持つ免疫機能を生かして治療する「がんワクチン」の効果を調べる臨床試験を久留米大医学部の伊東恭悟教授らが始めた。大腸がん患者など108人を対象にした第1段階では約3割に効果がみられた。数年以内の実用化を目指す。10月1日から東京で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。 がんワクチンは、がん細胞だけが持つたんぱく質の断片を注射し、これを攻撃の目印として免疫細胞に覚えさせ、がん細胞をやっつける仕組み。 伊東教授らはこれまでに30種類のワクチンを作った。この中から、患者のがんの種類や免疫機能に応じて、数種類のワクチンを選んで使う。 第1段階として、大腸がんや、再発した前立腺がんなどの患者108人に注射した。5人でがんが半分以下に縮小したほか、28人でがんの進行が遅くなったり、痛みが軽くなったりした。副作用は、注射した場所の腫れや一時的な発熱程度だった。 この結果をもとに、実用化を目指した第2段階の臨床試験を北海道大や杏雲堂病院(東京都)と共同で今春から始めた。治療が難しい胃がんや、進行が速い再発の子宮頸(けい)がん、大腸がんなどが対象。効果が高ければ製薬会社と協力して試験の規模を大きくする予定。 伊東教授は「製造しやすく、注射だけで済むので実用化されれば価値は大きい」と話している。 がんワクチンは新しい治療法として注目され、三重大、大阪大などでも研究が進められている。 |
●胃腸のかいよう、骨髄細胞が修復 難病治療に期待 2002/08/26 asahi
胃や腸が炎症やかいようを起こすと細胞を修復するために骨髄細胞が使われる。東京医科歯科大学の渡辺守教授らの研究グループが26日付のネイチャーメディシン(オンライン版)にこんな内容の論文を掲載する。白血病の治療で行われる骨髄移植がかいよう性大腸炎など難病治療にも役立つと研究グループはみている。
胃や腸などの表面にある細胞(上皮細胞)は通常、消化管にある幹細胞からつくられる。研究グループが白血病で骨髄移植を受けた女性の予後チェックのために上皮細胞を調べたところ、性染色体はXYで男性のものだった。骨髄の提供者が男性だったことから、骨髄細胞から上皮細胞がつくられたことがわかった。
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●輸入貝からA型肝炎ウイルスが検出 2002/08/16 asahi
国立感染症研究所などが昨年度輸入された二枚貝240パックを調べたところ、約1.3%にあたる3パックからA型肝炎ウイルスが検出されていたことがわかった。 |
●たばこ、1日数本でも心臓発作倍増…デンマーク調査
yomiuri 8/16
1日数本のたばこを吸っただけでも、心臓発作を起こす危険性(リスク)が増大することが、デンマークの研究グループによる22年間の大規模追跡調査でわかった。結果は英医学誌「ジャーナル・オブ・エピデミオロジー・アンド・コミュニティーヘルス」9月号に掲載される。
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●欧米系のB型肝炎が拡大。 2002/08/13 yomiuri
出生時に母親から感染した場合などに慢性化する日本在来のB型肝炎と異なり、成人での感染でも慢性化して肝硬変や肝臓がんに進む恐れがある欧米系のB型肝炎が、性感染により国内で勢力を拡大していることが、2つの研究グループの調査で明らかになった。
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●「8時間睡眠」に根拠なし、厚労省, 2002/08/11 asahi
8時間睡眠にこだわる必要はない、早めに床に就くとかえって眠れない−−。厚生労働省の研究班が睡眠障害の診療指針を出版した。従来の「常識」を覆す見解を盛り込んだ、いわば眠りの手引書。眠るヒントが分かりやすく紹介され、暑くて寝苦しい夜も安眠の世界にいざなってくれるかも知れない。 厚労省の調査では、5人に1人が不眠に悩んでいるのに、患者はもとより医療関係者向けの手引書もなかった。こうした手引書は国際的にも珍しいという。 よくいわれる「8時間睡眠」の学問的根拠は全くない。個人差や季節の差もあり日中の眠気で困らなければ十分▽早く床に就くのは逆効果。いったん床を出て眠くなってから再度床へ▽起きてすぐ日光を浴びると15、16時間して眠くなる。早寝より早起き−−といったように、無理なくできそうな提言が目につく。 昼寝は浅い眠りで20〜30分。ただ午後3時以降は夜の眠りに悪影響を与える。ぐっすり昼寝して寝不足を補うというのは考えもののようだ。 また、激しいいびきやむずむず感、眠っても眠っても眠気がとれない場合には、睡眠時無呼吸症候群や過眠症が疑われる−−など、ふだんの生活での注意点も指摘した。 主任研究者で、国立精神・神経センター精神保健研究所の内山真・部長は「不眠症には『早寝早起き』など子どものしつけのような指導がなされてきたが、医学的データに基づき、生活が不規則になりがちな人も実行できる先進的なものを目指した」と話す。 |
● 米、ホルモン補充長期投与に発ガン性の危険と発表。
2002/07/10 asahi
更年期の症状を和らげ、動脈硬化などの予防効果もあるホルモン補充療法を長期的に続けると、乳がんなどの危険を高めるとして、米国立保健研究所(NIH)は9日、大規模臨床試験を中止すると発表した。日本でもホルモン補充療法を受ける女性が増えており、議論を呼びそうだ。 |
●深夜勉強のための仮眠、日中の眠気増す・・・福島大が調査。
深夜の勉強に備えて、夕方に仮眠する中高生は約半数にのぼる一方で、仮眠する日数が多いほど、日中に眠気が強いことが福島大とノートルダム清心女子大による約1万人アンケートでわかった。“夜型”の勉強は全体としてはあまり効果的でないことを示唆しているようだ。 福島県と岡山県の中高生にアンケートし、約半数が週1回以上、1時間半―2時間の仮眠をとっているとわかった。就寝時間が遅く、仮眠の日数が多いほど、授業中など日中に居眠りをすることが増えた。午後10時に寝る中学生の場合、仮眠をとらない子どもの居眠り日数は週に平均約0・7日だったが、仮眠を週2回以上とる子どもは平均約1・7日に増加。 さらに、就寝時間が午前1時と遅く、仮眠を週2回以上とる子どもでは、週に約2・6日と大幅に増え、日中に強い眠気を感じていることが分かった。 一部の学校などでは、睡眠時間を確保するために、夕方以降に仮眠をとることを勧めているが、睡眠のリズムが悪くなって、日中の眠気につながっているとみられる。 |
● 脂肪細胞、実は善玉?血糖値降下に関与 阪大教授ら発表 asahi 2002/06/17
脂肪をためる脂肪細胞で作られるたんぱく質に、血糖値を下げる働きがあり、糖尿病などと深くかかわっていることが大阪大医学部の松沢佑次教授らの動物実験でわかった。 松沢教授らは96年、たんぱく質「アディポネクチン」の遺伝子を人の脂肪細胞から発見した。このたんぱく質ができないマウスを人工的に作り、脂肪や砂糖が多い高カロリーの餌を約1週間与え続けた。すると、血糖値を下げるインスリンの働きが落ち、血糖値が普通のマウスの2倍になった。こうしたマウスにアディポネクチンを与えると、血糖値が下がった。 普通の餌を与えると、どちらのマウスも血糖値にほとんど変わりはなかった。 別の研究では、人でもアディポネクチンが足りないと、糖尿病になっていることが多かったという。松沢教授は「悪者といわれる脂肪細胞に、体を守る働きがあることがはっきりした」と話している。 |
●たばこは腰痛にもいけません。 日大教授らが学会で発表 asahi 2002/06/06
たばこを吸う人ほど腰を痛めやすい、という喫煙と腰痛の因果関係を、日本大学医学部の松崎浩巳教授らのグループが突き止めた。 背骨でクッションの役目を果たす椎間板がニコチン摂取によってつぶれやすくなることを、動物実験で確認。 6日から宮崎市で始まる日本脊椎(せきつい)脊髄(せきずい)病学会で発表する。 実験は、たばこを1日 20本吸う人とほぼ同じ血中濃度のニコチンを、ウサギの体に4〜12週間続けて注入した後、解剖して椎間板の変化を調べた。ニコチンを長く与えたウサギほど、椎間板は弾力を失うことがわかった。 弾力のない椎間板は弱い力でもつぶれやすい。つぶれた椎間板は背骨周辺の神経を刺激して腰の痛みをもたらす。 これまで米国の大学の調査などで、腰痛患者の喫煙率が高いことは指摘されていた。だが、その理由は詳しくわかっていなかった。 松崎教授は「椎間板の変化は、ニコチンによって血流障害が起き、コラーゲンが破壊されたためだろう。たばこへの疑惑は『灰色』から『クロ』に近づいた。腰痛に悩む人は、ぜひ禁煙を」と話している。 |
●魚食べて心臓病を防ごう リスク軽減効果、米で発表 asahi 2002/04/10
魚を食べる回数が多い人ほど、心筋梗塞などの心臓病になりにくいことが、米国の二つの大規模長期調査で確かめられた。 |
● 京大教授ら新しい神経保護物質を発見 難病治療に期待 2002/02/26 asahi
中枢神経の神経細胞を毒性物質から守る働きのある天然化合物を、 京都大大学院薬学研究科の赤池昭紀教授らのグループが見つけた。将来、アルツハイマー病などの神経難病や、脳卒中などによる脳機能障害の治療薬となる可能性がある。26日発行の米科学アカデミー紀要に発表した。 アルツハイマー病やパーキンソン病で脳の神経細胞が変質したり、脳卒中などで脳神経細胞が死んだりしてしまうのは、アミノ酸の一種のグルタミン酸や、一酸化窒素(NO)が脳内で過剰に分泌され、神経細胞に対する毒性物質を作るのが一因だと考えられている。 赤池教授らは、牛の胎児の血清から、この毒性物質の発生を抑制する働きがある物質を見つけた。ほ乳類から見つかったことのない新しい形の化合物で、「セロフェンド酸」と命名した。これは人の血液にもあった。 グルタミン酸やNOは脳内の神経伝達物質として重要で、抑制すると記憶能力に支障が出るなど副作用が大きくなる恐れがあり、これまで分泌を制御する薬を開発するのが難しかった。セロフェンド酸は、グルタミン酸やNOの従来の働きには影響しておらず、赤池教授は「副作用は与えず、脳神経を守る可能性がある」と話している。 |
● アルツハイマー病:原因物質を阪大グループが発見 新薬開発へ 2002/02/23 mainiti
原因不明の老年性アルツハイマー病を引き起こすと考えられるたんぱく質を、大阪大のチームが発見した。神経細胞のDNAが持つ遺伝情報を変化させ、細胞死させる。このたんぱく質の働きを妨げる物質の合成にも成功、大正製薬と提携し、アルツハイマー病の進行や発症を止める新薬の開発に着手している。 阪大医学部の遠山正彌教授(神経化学)と片山泰一助手、大学院生の真部孝幸さんの研究。 「HMG-I」というたんぱく質で、本来はDNAに結合し、ストレスを受けた細胞の生死のバランスを保つ機能がある。 グループは、神経細胞を酸素の少ない状態に長時間置くと、変種プレセニリン2(PS2)というたんぱく質ができ、細胞死を起こすことに注目した。実験の結果、DNAが出す遺伝情報に、HMG-Iが結合すると異常化することが判明。異常な遺伝情報が、変種PS2たんぱく質を作らせていた。 HMG-Iが結合する部分に、合成した別の分子を結合させると、遺伝情報の異常化は起きず、変種PS2もできなかった。 死亡した老年性アルツハイマー病患者17人の脳を調べ、すべてから変種PS2を発見。遠山教授は「変種PS2が、多くの老年性アルツハイマー病の原因である可能性が非常に高い。高齢になり、脳のごく細い血管が詰まると細胞が酸素不足になり、HMG―Iによる異常化が起きるのではないか」と話している。 |
●慢性関節リウマチの関与遺伝子を発見…神戸大医学部 2002/02/11 yomiuri
ひじやひざなどに激しい痛みを伴う慢性関節リウマチの発症に関係する遺伝子を、神戸大学医学部の塩沢俊一教授らが初めて突き止めた。 |
紫外線ランプで人工的に日焼けを演出する日焼けサロンは、日本でも利用者が増えているが、米国の利用者では皮膚がんの発生率が1.5〜2.5倍にも高まっていることが分かった。米ダートマス大のグループが、6日発行の米国立がん研究所報で報告し、未成年への照射は禁ずべきだとしている。同州内の皮膚科を受診した25〜74歳の約1500人(うち皮膚がん患者約800人)を対象に、日焼け器具の利用経験、それ以外の日焼け経験などを面接調査した。 |
●パーキンソン病治療に光…サルES細胞から神経細胞 yomiuri 2002/01/30
さまざまな組織や臓器の細胞に変化する可能性を持つサルの胚性幹(ES)細胞から、神経伝達物質ドーパミンを分泌する神経細胞や、光を感じる網膜の細胞を作り出すことに、京都大再生医科学研究所の笹井芳樹教授らの研究グループが世界で初めて成功した。ヒトとサルのES細胞は特徴がほぼ同じため、ドーパミン不足で運動障害などの症状が出るパーキンソン病や、網膜の病気などの治療につながると期待される。 笹井教授らはマウスのES細胞を、骨髄から採取した細胞とともに培養し、神経細胞へ効率よく変化させる方法を2000年秋に開発。これを同研究所の中辻憲夫教授らが作ったカニクイザルのES細胞に応用した。その結果、10日から12日でおよそ半分の細胞が神経系の細胞に変化し、そのうち約30%がドーパミンを作りだすのを確認。この細胞をマウスの脳に移植して2週間後に観察すると、約10%が拒絶されずに残っていたことがわかった。 |
●奈良医大、骨髄細胞から骨再生して移植 nikkei 2002/01/29
奈良県立医科大学は28日、骨髄細胞から骨をつくり患者に移植する手術に成功したと発表した。骨髄細胞は血管や神経など様々な組織を作り出す潜在力を備え再生医療の有力材料として注目される。今回の手術は骨髄細胞から骨を作る世界初の本格的な治療例だ。 奈良医大整形外科の高倉義典教授らと経済産業省の独立行政法人、産業技術総合研究所のティッシュエンジニアリング研究センター(大阪府池田市)が共同で手法を開発。昨年12月、変形性足関節症で足首の関節の骨がすり減り、人工関節を入れる必要のあった70歳と66歳の女性2人に移植手術を実施した。 高倉教授らは昨年11月、患者の骨盤から注射で骨髄を約10ミリリットル採取。骨髄細胞の中で骨を作る細胞に成長する「間葉系幹細胞」だけを取り出して2週間程度培養して増やした。それをセラミックス製人工関節の患者の骨と接合する部分にのせ、さらに約1カ月培養したところ、人工関節の接合部を骨で覆うことができた。2人の患者は手術後の感染症や拒絶反応もなく経過は良好。痛みもないという。 |
●男性は「やや太め」が長生き、厚労省調査で判明 yomiuri 2002/01/25
男性は、標準体重よりも少し太めの方が長生きできる傾向があることが、厚生労働省の大規模疫学調査(研究責任者=津金昌一郎・国立がんセンター研究所支所臨床疫学研究部長)で確かめられた。肥満の指標「BMI」と早期死亡率の比較で、男性は健康的として推奨されている数値よりも高めの人の方が、死亡リスクが低いことがわかった。「標準体形」を左右する結果だけに、「健康的な体重」論議を呼びそうだ。 BMI(ボディー・マス・インデックス) 体重(キロ・グラム)を身長(メートル)の2乗で割った数字。最も死亡率が低いとされた23〜26・9は、身長1メートル65の人だと62.8〜73.5キログラム。病気になる確率が最も低いと言われる標準的なBMIは22。25以上は「肥満」で、厚生労働省などでも25未満を推奨している。 |