寝たきり予防に筋力体操                    yomiuri         2002/12/09

 お年寄りが寝たきりにならないようにと、東京都荒川区と、地元の都立保健科学大(同区東尾久7)が共同で「転倒予防体操」を開発した。実際にお年寄り約20人が1か月半の間、この体操を試した結果、筋力がアップするなどの効果が現れたという。
同区は、この体操を普及させ、区内のお年寄りの健康作りに役立てたい考えだ。 今年1月現在、区の人口のうち、65歳以上のお年寄りが占める割合は20・47%で、東京23区内では台東、北、千代田に次いで4番目に高い。 お年寄りの中には転倒して足や腰の骨を折って動けなくなり、そのまま寝たきりになってしまう人も少なくなく、高齢者の健康作りは区の大きな課題だ。 都立保健科学大の山田拓実・助教授が運動開発の中心となり、58歳から82歳までのお年寄り計19人に体験してもらった。19人は10月半ばから12月初めまで週2回、同大に通い、体操を続けた。 体操は自宅などで簡単にできるよう、いすを使ったものやストレッチ運動が中心。片手を上に掲げ、片方の足で立ち、体全体のバランス感覚を養う「バランス立ち」や、座った状態で腕を大きく振り、勢いを利用して、立ち上がる「立ちしゃがみ」などだ。 運動の途中で参加者の脈拍を測るなどして、試行錯誤を繰り返した結果、適度な運動時間は約15分間であることもわかった。

 最終日には、効果を調べるために体力測定が行われた。山田助教授は「全体的に、筋力やバランスの能力がアップした。予想よりいい結果だった。普段の体力作りが、転倒を防ぐ最も効果的な予防法だ」と話す。今後、1人1人にどの程度、効果があったのか、詳しく分析するという。

 参加者の1人、宮脇元代さん(70)は、「自転車に乗っていても、危ない時にすぐに停止できるようになり、判断と反応が速くなった気がする。夫にも教えてあげたい」と、うれしそうに話していた

●脂ののった魚介類、ダイオキシン高め 水産省 asahi 2002/12/02

 脂が多かったり、大都市周辺で取れたりした魚介類は、ダイオキシン類濃度が高いことが水産庁の調査で分かった。国の定めた安全基準(TDI)を大きく上回る魚種もあった。日常生活で口にする機会が多い魚介類を調査対象にしているため、濃度が特に高かった魚種については、追加調査で原因や汚染状況を突き止めることを検討している。
 調査はダイオキシン類の食品影響に対する国民の関心に応えるため、水産庁が99年度から実施。これまでに93種の結果がまとまった。
 漁獲量と輸入量が多い魚種が対象。同じ魚種でも海域を分け、食べられる部分のダイオキシン類濃度を調べた。
 海域別でダイオキシン類濃度が高かったのは東京湾、大阪湾、瀬戸内海といった大都市周辺で取れたコノシロやタチウオ。アナゴなど主に湾内にとどまって生息している魚種も高めだった。
 脂の多いマグロ類やブリも同様。最も高かったのは米国東海岸沖で取れたクロマグロ。体重50キロの大人が毎日20グラム(刺し身で2切れ程度)を生涯、食べ続けるとTDIを超えることになる。脂分を増やすため、いけすで飼ってから輸入されたとみられているが、確認はされていない。
 逆にバカガイやスルメイカ、マダコは脂が少なくダイオキシン類濃度が低かった。カニは脚肉は低かったが、甲羅内のミソが北陸沖、山陰沖のズワイガニやベニズワイガニで高い値を示した。
 同じ魚種、同じ海域でも、年によって濃度が異なる事例がいくつかあった。全体の濃度の平均は1グラムあたり0.748ピコ(ピコは1兆分の1)グラムで、日本人が日常の生活で体内に取り込んでいるダイオキシン量を大幅に下回った。
 同庁漁場資源課は「以前から指摘されていたことが裏付けられた結果となった。バランスよく食事を取れば健康面の心配はない」と説明している。
 魚に対するダイオキシン類濃度調査は環境省も実施したことがあるが、海域別や魚種別などを含む細かい調査は初めて。
 <TDI> ダイオキシン類を含んだ食品を一生涯、毎日食べ続けても健康に影響しないとされる1日の耐容摂取量。体重1キロあたり4ピコグラムまで。厚生労働省の調査だと、日本人が1日に平均して食品や空気から取り込んでいるダイオキシン量は体重1キロあたり1.5ピコグラム。
 発がん性が指摘されるダイオキシン類は水に溶けにくく、脂に溶けやすい性質がある。ごみの焼却などで生じ、河川を通じて、海に流入していると考えられている。

ぜんそくとアトピー、関与遺伝子を特定…京大教授ら

2002/11/17 yomiuri

 ぜんそくとアトピー性皮膚炎に関係する遺伝子の個人差を、白川太郎・京都大医学研究科教授、玉利真由美・理化学研究所研究員らが発見した。アレルギー疾患でこのような個人差が見つかったのは世界で初めて。発症予防や治療法の開発につながると期待される。DNAの遺伝情報は、4種類の塩基を「文字」にして書かれており、人により塩基の1つだけが通常と異なる「SNP」(一塩基多型)の探索を理化学研究所などが進めている。

 白川教授らは、ぜんそく患者約100人の協力を得て、約9万か所のSNPについて、病気の有無との関連を調べた。その結果、多くの患者で30―40か所に変異がみられ、発病と関係があると考えられた。また患者のうち約50人はアトピー性皮膚炎も発症しており、こちらに関連が深いとみられるSNPも数か所みつかった。

子どもの花粉症発症、親世代の2倍に 日本医大調査 2002/11/01 asahi

15歳までに花粉症になる子どもは、親が子どもだったころの2倍に増えている−−。日本医科大の大久保公裕・助教授(耳鼻咽喉(いんこう)科)がこんな調査をまとめた。花粉症の低年齢化が裏付けられた形だ。1日から盛岡市で開かれる日本小児アレルギー学会で発表する。

 大久保さんは今年3月、東京、大阪、名古屋、福岡など都市部で働く大人958人と、その子ども1285人の協力を得てアンケートした。

 親の世代(平均年齢43歳)で、花粉症などアレルギー性鼻炎の症状がある人は51.4%。子どもたち(同12歳)では23.7%だった。

 このうち花粉症にかぎって、発症した年齢を尋ねたところ、「15歳まで」と答えた人は親の世代では約5%だったのに対し、子どもの場合には約10%と倍になっていた。

 大久保さんは「花粉の飛ぶ量が増えたことや気密型の住居の増加などが低年齢化の原因と考えられる。こうした状況が続けば次の世代に倍々ゲームで増えていく可能性がある」と話している。

女性ホルモン、肝障害を促進 2002/10/23 Nikkei

同じようにお酒を飲んでも女性が男性よりアルコール性肝炎や肝硬変になりやすいのは、女性ホルモンの作用がかかわっていることを佐藤信紘・順天堂大教授(消化器内科)らがラットの実験で23日までに突き止めた。

 女性ホルモンのエストロゲンが、アルコール摂取で作られる肝臓内の炎症性物質を増やすことを解明。佐藤教授らは、この作用を防いで肝臓病を予防、治療する方法を研究している。

 女性が男性よりアルコールに敏感な理由として、一般に体が小さくて肝臓も小さいことや、ホルモンの影響が指摘されている。

 佐藤教授らは、アルコールで活性化された腸内細菌が作る毒素エンドトキシンが、肝臓で代謝されるメカニズムに着目。これまでに、肝臓のクッパー細胞がエンドトキシンを分解する一方で、炎症を起こすサイトカイン(TNF―?)と呼ばれる物質を分泌し、周囲の肝細胞を壊すことを解明した。

リウマチの“国産新薬 2002/10/22 yomiuri

関節リウマチの新薬開発に大阪大健康体育部(免疫内科)の吉崎和幸教授、西本憲弘助教授らが成功し、臨床試験(治験)で有効性を確認した。有望な“国産新薬”の登場は異例で、70万人と言われる患者に朗報となりそうだ。

 輸入薬に席巻される日本の医薬品開発にとっても意義は大きい。治験結果は24日から米国で開かれる米リウマチ学会で発表される。

 リウマチは、関節を包む滑膜(かつまく)が炎症を起こし、痛む病気。この炎症は、免疫にかかわる生理活性物質「インターロイキン(IL)―6」が、滑膜の細胞の表面にある受容体に取りつくことで起きることを、岸本忠三学長(当時細胞工学センター教授)らが発見した。吉崎教授らは、この受容体に「ふた」(抗体)をして、炎症や病状進行を抑える新薬「MRA」を開発した。

 治験では、164人の患者を対象に、MRAを体重1キロ当たり8ミリ・グラム、4ミリ・グラム、薬効のない偽薬をそれぞれ投与する3グループに分け、効果を比較。12週間後、痛む関節の数が減るなど改善した患者は、8ミリ・グラム投与群で78%、4ミリ・グラムは57%で、偽薬の11%より高く、従来薬の20―60%と同等以上だった。

 副作用としては、風邪など軽い感染症にかかった患者が2割ほどいた。来年初めにも最終段階の治験を行い、2005年ごろの発売を目指す。

 リウマチ治療薬を巡っては、次世代の主役と期待される「抗体医薬」の開発競争が繰り広げられている。免疫の関連物質を使って特定の細胞を狙い撃つ薬で、MRAもその一つ。

 吉崎教授は「寝たきりにつながる足の関節破壊は、従来薬では防ぎきれなかったが、この新薬なら予防可能になる」と話している。

「喫煙死」1時間に560人 2002/10/16 yomiuri

世界保健機関(WHO)は15日、世界で年間490万人が、喫煙が原因で死亡しているとの推計を発表した。世界で1時間に560人、1日で1万3400人がたばこを原因とする肺がんや結核などのため死んでいる計算になる。
また、WHOは、たばこを規制する効果的な国際的枠組みや国内の法整備ができなければ、たばこのため死ぬ人は、2020年には世界で840万人に上る恐れがあるとした。WHOによると、現在、世界で男性約10億人、女性約2500万人が喫煙しているという

リンゴに花粉症などアレルギー症状を抑える効果 2002/10/03 asahi

リンゴに含まれる水溶性食物繊維ペクチンにアレルギー症状の原因物質を減らす効果があるとする試験結果を、独立行政法人の農業技術研究機構果樹研究所(茨城県つくば市)の田中敬一品質化学研究室長らがまとめた。13日から熊本市で開かれる園芸学会で発表する。
田中室長らは、リンゴやナシを1日平均4分の1個以上食べる人は気管支ぜんそくになりにくいとするオランダの調査(60〜85年)に注目。どの成分が効くのか調べるため、健康な大人14人(25〜68歳)に粒状にしたペクチンを1日平均8.4グラムずつ3週間食べてもらった。
花粉症、アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患を引き起こすヒスタミンの血液中の濃度を調べると、11人で低下。14人の平均では24%減だった。食べるのをやめて2週間後では元に戻る人が多かった。
総コレステロールも平均10%減った。 今回の摂取量は、短期間で効果を確認するため、1日あたりリンゴ5〜7個分と多めに設定した。田中室長は「少しでもいいから毎日食べることが重要」としている。

「やせの大食い」解明 体の脂肪を燃やすたんぱく質発見

2002/10/02 asahi

実際に運動しなくても軽い運動をしたときと同じように体内の脂肪を燃やす役目をするたんぱく質が動物実験で分かった。このたんぱく質を多く作るネズミは「やせの大食い」になる。京都大大学院生命科学研究科の垣塚彰教授や大阪バイオサイエンス研究所のグループが3日から京都市で始まる日本肥満学会で発表する。肥満を楽に解消できる薬の開発につながりそうだ。
垣塚教授らが見つけたのは「ERRL1」というたんぱく質。遺伝子操作でこのたんぱく質を通常の約1.5倍持つERRL1ネズミと、普通のネズミを6匹ずつ高脂肪食を与えて7週間飼った。ERRL1ネズミは普通のネズミよりたくさん食べるのに体重は常に15〜25%少なく、脂肪組織も少ない「やせの大食い」だった。エネルギー消費量は安静時でも普通より2割以上多かった。

 ERRL1ネズミは脂肪細胞が少ないため、そこから分泌されて食欲を抑えるホルモンの血中濃度が低く、これが大食いの原因と考えられる。ネズミの細胞で調べたところ、ERRL1は細胞内の核に「脂肪を燃やす酵素をたくさん作れ」という信号を伝えていた。

 体内のERRL1を増やす刺激を探した結果、軽い運動が一番の刺激だとわかった。ネズミを分速15メートルで約2時間歩かせると、骨格筋を中心に通常の約1.5倍のERRL1が作られた。

 垣塚教授は「なぜ運動が肥満防止に有効なのかがERRL1の働きでうまく説明できる。ERRL1を増やせば運動と同じ効果をもたらす。運動をせずにその効果が得られる肥満防止薬の開発も夢ではない」と話す

大人の脳神経、光の刺激で訓練可能 渡邊米大教授ら発見 2002/09/30 asahi

 大人になってからは変化しないとされてきた脳神経の視覚にかかわる基本回路が、光の刺激を繰り返すことで変わることを、渡邊武郎・米ボストン大教授らが見つけた。米国の神経科学専門誌ネイチャー・ニューロサイエンスに発表する。無意識のうちに見ているものを学習する能力が、大人でも予想以上に維持されるようだ。
 81年にノーベル医学・生理学賞を受けた米国のヒューベル博士らは、子ネコの片目をある時期ふさいだままにしておくと、後に光の刺激を与えてもその目で物を見られなくなることを発見した。以来、子どもの頃に光の刺激によって脳神経回路が完成する時期があり、そこでできた回路は変化しないとされてきた。
 渡邊教授らは19歳以上の実験協力者に、コンピューター画面に表示される文字などを注視するよう指示したあと、同じ画面上で多数の点を動かした。協力者に点を意識させないようにして、脳の視覚領域の基本回路を刺激するのが狙いだ。
 刺激の後、点の動く方向を読みとるテストをしたところ、正確さが刺激前に比べ高まった。しかもその効果は4〜6カ月持続した。変化しないとされてきた脳の基本的な神経回路に変化が起きた証拠といえる。
 「外界からの刺激を最初に処理するような神経回路は大人になっても柔軟性があり、受け身的な学習が可能だということがわかった」と渡邊教授はいう

がんワクチン、約3割に効果 臨床試験第1段階 2002/09/30 asahi

 体が持つ免疫機能を生かして治療する「がんワクチン」の効果を調べる臨床試験を久留米大医学部の伊東恭悟教授らが始めた。大腸がん患者など108人を対象にした第1段階では約3割に効果がみられた。数年以内の実用化を目指す。10月1日から東京で開かれる日本癌(がん)学会で発表する。
 がんワクチンは、がん細胞だけが持つたんぱく質の断片を注射し、これを攻撃の目印として免疫細胞に覚えさせ、がん細胞をやっつける仕組み。
 伊東教授らはこれまでに30種類のワクチンを作った。この中から、患者のがんの種類や免疫機能に応じて、数種類のワクチンを選んで使う。 第1段階として、大腸がんや、再発した前立腺がんなどの患者108人に注射した。5人でがんが半分以下に縮小したほか、28人でがんの進行が遅くなったり、痛みが軽くなったりした。副作用は、注射した場所の腫れや一時的な発熱程度だった。
 この結果をもとに、実用化を目指した第2段階の臨床試験を北海道大や杏雲堂病院(東京都)と共同で今春から始めた。治療が難しい胃がんや、進行が速い再発の子宮頸(けい)がん、大腸がんなどが対象。効果が高ければ製薬会社と協力して試験の規模を大きくする予定。
 伊東教授は「製造しやすく、注射だけで済むので実用化されれば価値は大きい」と話している。 がんワクチンは新しい治療法として注目され、三重大、大阪大などでも研究が進められている。

胃腸のかいよう、骨髄細胞が修復 難病治療に期待 2002/08/26 asahi

胃や腸が炎症やかいようを起こすと細胞を修復するために骨髄細胞が使われる。東京医科歯科大学の渡辺守教授らの研究グループが26日付のネイチャーメディシン(オンライン版)にこんな内容の論文を掲載する。白血病の治療で行われる骨髄移植がかいよう性大腸炎など難病治療にも役立つと研究グループはみている。 胃や腸などの表面にある細胞(上皮細胞)は通常、消化管にある幹細胞からつくられる。研究グループが白血病で骨髄移植を受けた女性の予後チェックのために上皮細胞を調べたところ、性染色体はXYで男性のものだった。骨髄の提供者が男性だったことから、骨髄細胞から上皮細胞がつくられたことがわかった。
さらに、移植の副作用で胃腸でかいようができている患者の上皮細胞を調べたところ、提供者の骨髄細胞からつくられた上皮細胞が通常より50〜100倍増えていることもわかった。同グループは上皮細胞が壊れると骨髄細胞が修復に動き出すと結論づけている。
渡辺教授は「かいよう性大腸炎やベーチェット病、クローン病などの難病に、骨髄移植が使える可能性がある」と話している。

輸入貝からA型肝炎ウイルスが検出  2002/08/16 asahi

国立感染症研究所などが昨年度輸入された二枚貝240パックを調べたところ、約1.3%にあたる3パックからA型肝炎ウイルスが検出されていたことがわかった。
現在、貝の輸入時にウイルスの検査はない。厚生労働省は検疫所での検出マニュアルづくりなど、対策の検討を始めた。感染研は「中心部まで加熱して食べれば問題ない」としている。

中国、韓国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)などから輸入されたハマグリ、アサリ、アカガイなど計240パックを千葉、愛知の卸売市場で購入。1パック5個前後の中身をすりつぶして検体化、ウイルスを調べた。
その結果、中国産のハマグリ2パック、ウチムラサキガイ(大アサリ)1パックからA型肝炎ウイルスを検出した。
A型肝炎は、年間3万人以上と推定される急性肝炎の約4割を占めると見られている。国内の死亡率は約0.3%。潜伏期間が約1カ月と長いため、原因がわからないことが多い。
貝の輸入量は、年間約13万6千トン。アサリ、ハマグリ、シジミ、カキ、アカガイなどが主に北朝鮮、中国、韓国から輸入されている。二枚貝は患者の便から川や海に流れ出たウイルスを体内で濃縮するため、感染源になりやすい。
感染研の西尾治・感染症情報センター第六室長は「輸入貝の安全性を確保する監視態勢の整備が必要だろう」と話している。

たばこ、1日数本でも心臓発作倍増…デンマーク調査
yomiuri 8/16

1日数本のたばこを吸っただけでも、心臓発作を起こす危険性(リスク)が増大することが、デンマークの研究グループによる22年間の大規模追跡調査でわかった。結果は英医学誌「ジャーナル・オブ・エピデミオロジー・アンド・コミュニティーヘルス」9月号に掲載される。
調査は、デンマーク予防医学研究所のエバ・プレスコット博士らが、心臓発作の危険因子を探るため、デンマーク国内の約1万2000人の男女を対象に行ったもの。生活習慣と心臓発作の関係を、22年間にわたって追跡した。
その結果、1日3〜5本のたばこを吸う女性は、非喫煙者に比べて心臓発作を起こす発生率が2・14倍になり、その他の原因を合わせた死亡率も約1・86倍と、高かった。
男性の場合、健康へのリスクが高まるのは喫煙本数が1日6〜9本の人からで、心臓発作を起こす発生率が2・10倍になり、その他の原因を含めた死亡率も1・76倍だった。
女性の方が少ない本数で影響が出たことについて、研究チームでは「心臓発作から守る働きを持つ女性ホルモンをたばこが阻害するため」と見ている。

欧米系のB型肝炎が拡大。                                   2002/08/13   yomiuri

出生時に母親から感染した場合などに慢性化する日本在来のB型肝炎と異なり、成人での感染でも慢性化して肝硬変や肝臓がんに進む恐れがある欧米系のB型肝炎が、性感染により国内で勢力を拡大していることが、2つの研究グループの調査で明らかになった。
B型肝炎はワクチンの普及で母子感染対策が確立、慢性肝炎を根絶に追い込めるとみられていたが、新たなタイプの拡大は撲滅にブレーキをかける恐れもある。研究者らは「母子感染だけに的を絞った従来の予防策では、B型慢性肝炎は防ぎ切れない」と警鐘を鳴らしている。
血液など体液を通じて感染するB型肝炎ウイルスは、遺伝子の構造でAからGまで7タイプに分類され、日本のB型慢性肝炎は大半がCタイプ。アジアに多いBタイプも数%を占めるが、他のタイプはほとんどない。在来型は成人で感染しても急性肝炎にとどまり慢性化しなかった。ただ、7タイプの中でAタイプが唯一、約1割が慢性化する。
全国21の国立病院・療養所による「肝疾患共同研究班」が、1990年以降に入院した254人のB型急性肝炎患者について、病原体の肝炎ウイルス(HBV)遺伝子を分析したところ、母子感染や免疫が正常でない人が慢性化するこれまでのタイプとは異なり、欧米とフィリピンに多いAタイプが24人(9・5%)に上っていた。男性が88%を占めていた。
さらに、東京女子医大(東京都新宿区)の長谷川潔講師(消化器内科)らが、96―2000年に診察した25人のB型急性肝炎について、HBVを分析した結果、男性ばかり14人がAタイプだった。このうち感染経路が判明した8人は、すべて性感染だった。
こうした結果から、国立病院長崎医療センターの八橋弘・臨床研究部長は「都会で外国人などから性感染した例が多いのではないか」と推測。長谷川講師は「最初は外国から持ち込まれたAタイプが、今や性産業などを通じてまん延している可能性もある」とみる。 国立病院・療養所の患者24人のうち、2人は発症から6か月後もウイルスが体内から消えず、慢性化している可能性があった。フィリピンで急性肝炎になったことのある夫から感染した女性もいた。
同研究班の調査では、Aタイプの割合が、2000年は14%、2001年は18・5%と、上昇傾向にあり、八橋部長は「肝炎もグローバル化の影響を受けている」とみている。

「8時間睡眠」に根拠なし、厚労省, 2002/08/11 asahi

8時間睡眠にこだわる必要はない、早めに床に就くとかえって眠れない−−。厚生労働省の研究班が睡眠障害の診療指針を出版した。従来の「常識」を覆す見解を盛り込んだ、いわば眠りの手引書。眠るヒントが分かりやすく紹介され、暑くて寝苦しい夜も安眠の世界にいざなってくれるかも知れない。

 厚労省の調査では、5人に1人が不眠に悩んでいるのに、患者はもとより医療関係者向けの手引書もなかった。こうした手引書は国際的にも珍しいという。

 よくいわれる「8時間睡眠」の学問的根拠は全くない。個人差や季節の差もあり日中の眠気で困らなければ十分▽早く床に就くのは逆効果。いったん床を出て眠くなってから再度床へ▽起きてすぐ日光を浴びると15、16時間して眠くなる。早寝より早起き−−といったように、無理なくできそうな提言が目につく。

 昼寝は浅い眠りで20〜30分。ただ午後3時以降は夜の眠りに悪影響を与える。ぐっすり昼寝して寝不足を補うというのは考えもののようだ。

 また、激しいいびきやむずむず感、眠っても眠っても眠気がとれない場合には、睡眠時無呼吸症候群や過眠症が疑われる−−など、ふだんの生活での注意点も指摘した。

 主任研究者で、国立精神・神経センター精神保健研究所の内山真・部長は「不眠症には『早寝早起き』など子どものしつけのような指導がなされてきたが、医学的データに基づき、生活が不規則になりがちな人も実行できる先進的なものを目指した」と話す。

 米、ホルモン補充長期投与に発ガン性の危険と発表。
2002/07/10 asahi

更年期の症状を和らげ、動脈硬化などの予防効果もあるホルモン補充療法を長期的に続けると、乳がんなどの危険を高めるとして、米国立保健研究所(NIH)は9日、大規模臨床試験を中止すると発表した。日本でもホルモン補充療法を受ける女性が増えており、議論を呼びそうだ。
NIHは、93〜98年まで、50〜79歳の女性約1万6千人を2グループに分け、一方には、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンを投与、他方には偽薬を与えた結果を解析した。追跡調査で、補充療法を受けたグループは骨折の発生率は減ったが、脳卒中の危険は41%、乳がん発病の危険は26%増え、心臓発作の危険も29%増えた。NIHはメリットよりリスクのほうが高いと判断し、検証のために05年まで続ける予定の臨床試験を中止することにした。ただし、NIHの専門家は、更年期障害を和らげるために短期的に使う場合は、効果がリスクより大きいとした。

深夜勉強のための仮眠、日中の眠気増す・・・福島大が調査

深夜の勉強に備えて、夕方に仮眠する中高生は約半数にのぼる一方で、仮眠する日数が多いほど、日中に眠気が強いことが福島大とノートルダム清心女子大による約1万人アンケートでわかった。“夜型”の勉強は全体としてはあまり効果的でないことを示唆しているようだ。

 福島県と岡山県の中高生にアンケートし、約半数が週1回以上、1時間半―2時間の仮眠をとっているとわかった。就寝時間が遅く、仮眠の日数が多いほど、授業中など日中に居眠りをすることが増えた。午後10時に寝る中学生の場合、仮眠をとらない子どもの居眠り日数は週に平均約0・7日だったが、仮眠を週2回以上とる子どもは平均約1・7日に増加。

 さらに、就寝時間が午前1時と遅く、仮眠を週2回以上とる子どもでは、週に約2・6日と大幅に増え、日中に強い眠気を感じていることが分かった。

 一部の学校などでは、睡眠時間を確保するために、夕方以降に仮眠をとることを勧めているが、睡眠のリズムが悪くなって、日中の眠気につながっているとみられる。

脂肪細胞、実は善玉?血糖値降下に関与 阪大教授ら発表 asahi 2002/06/17

 脂肪をためる脂肪細胞で作られるたんぱく質に、血糖値を下げる働きがあり、糖尿病などと深くかかわっていることが大阪大医学部の松沢佑次教授らの動物実験でわかった。
 松沢教授らは96年、たんぱく質「アディポネクチン」の遺伝子を人の脂肪細胞から発見した。このたんぱく質ができないマウスを人工的に作り、脂肪や砂糖が多い高カロリーの餌を約1週間与え続けた。すると、血糖値を下げるインスリンの働きが落ち、血糖値が普通のマウスの2倍になった。こうしたマウスにアディポネクチンを与えると、血糖値が下がった。
 普通の餌を与えると、どちらのマウスも血糖値にほとんど変わりはなかった。
別の研究では、人でもアディポネクチンが足りないと、糖尿病になっていることが多かったという。松沢教授は「悪者といわれる脂肪細胞に、体を守る働きがあることがはっきりした」と話している。

たばこは腰痛にもいけません。 日大教授らが学会で発表 asahi 2002/06/06

 たばこを吸う人ほど腰を痛めやすい、という喫煙と腰痛の因果関係を、日本大学医学部の松崎浩巳教授らのグループが突き止めた。
背骨でクッションの役目を果たす椎間板がニコチン摂取によってつぶれやすくなることを、動物実験で確認。
6日から宮崎市で始まる日本脊椎(せきつい)脊髄(せきずい)病学会で発表する。
実験は、たばこを1日 20本吸う人とほぼ同じ血中濃度のニコチンを、ウサギの体に4〜12週間続けて注入した後、解剖して椎間板の変化を調べた。ニコチンを長く与えたウサギほど、椎間板は弾力を失うことがわかった。
弾力のない椎間板は弱い力でもつぶれやすい。つぶれた椎間板は背骨周辺の神経を刺激して腰の痛みをもたらす。
 これまで米国の大学の調査などで、腰痛患者の喫煙率が高いことは指摘されていた。だが、その理由は詳しくわかっていなかった。
 松崎教授は「椎間板の変化は、ニコチンによって血流障害が起き、コラーゲンが破壊されたためだろう。たばこへの疑惑は『灰色』から『クロ』に近づいた。腰痛に悩む人は、ぜひ禁煙を」と話している。

魚食べて心臓病を防ごう リスク軽減効果、米で発表 asahi 2002/04/10

魚を食べる回数が多い人ほど、心筋梗塞などの心臓病になりにくいことが、米国の二つの大規模長期調査で確かめられた。
ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)など、魚に多い不飽和脂肪酸には動脈硬化を防ぐ効果があるとされているが、それを裏付ける結果だ。
ハーバード大のグループは80年から、女性看護師約8万5000人の生活習慣を追跡調査。動脈硬化による心臓病にかかる率は、魚を食べる回数が月に1回未満の人たちが最も高かった。この人たちに比べて、月1〜3回なら21%、週1回なら29%、週2〜4回なら31%、週5回以上なら34%、それぞれリスクが減っていた。
生死にかかわるような重い心臓発作の危険率ではさらに差が大きく、週5回以上の人たちでは45%も危険率が低かった。
もう一方のボストンの婦人病院グループは82年以来、男性医師約2万2000人を追った。心臓発作で突然死する危険性は、魚を習慣的に食べる医師では81%も低かった。
DHAやEPAは、脂がのったマグロやブリなどに多く含まれる。食べる魚介類の種類から、魚特有の不飽和脂肪酸の摂取量を推定すると、摂取量が多いほど、効果が大きかった。
米医学会誌10日号とニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン11日号に論文が掲載された

京大教授ら新しい神経保護物質を発見 難病治療に期待 2002/02/26 asahi

 中枢神経の神経細胞を毒性物質から守る働きのある天然化合物を、
京都大大学院薬学研究科の赤池昭紀教授らのグループが見つけた。将来、アルツハイマー病などの神経難病や、脳卒中などによる脳機能障害の治療薬となる可能性がある。26日発行の米科学アカデミー紀要に発表した。
 アルツハイマー病やパーキンソン病で脳の神経細胞が変質したり、脳卒中などで脳神経細胞が死んだりしてしまうのは、アミノ酸の一種のグルタミン酸や、一酸化窒素(NO)が脳内で過剰に分泌され、神経細胞に対する毒性物質を作るのが一因だと考えられている。
 赤池教授らは、牛の胎児の血清から、この毒性物質の発生を抑制する働きがある物質を見つけた。ほ乳類から見つかったことのない新しい形の化合物で、「セロフェンド酸」と命名した。これは人の血液にもあった。
 グルタミン酸やNOは脳内の神経伝達物質として重要で、抑制すると記憶能力に支障が出るなど副作用が大きくなる恐れがあり、これまで分泌を制御する薬を開発するのが難しかった。セロフェンド酸は、グルタミン酸やNOの従来の働きには影響しておらず、赤池教授は「副作用は与えず、脳神経を守る可能性がある」と話している。

アルツハイマー病:原因物質を阪大グループが発見 新薬開発へ 2002/02/23 mainiti

原因不明の老年性アルツハイマー病を引き起こすと考えられるたんぱく質を、大阪大のチームが発見した。神経細胞のDNAが持つ遺伝情報を変化させ、細胞死させる。このたんぱく質の働きを妨げる物質の合成にも成功、大正製薬と提携し、アルツハイマー病の進行や発症を止める新薬の開発に着手している。
 阪大医学部の遠山正彌教授(神経化学)と片山泰一助手、大学院生の真部孝幸さんの研究。
「HMG-I」というたんぱく質で、本来はDNAに結合し、ストレスを受けた細胞の生死のバランスを保つ機能がある。
 グループは、神経細胞を酸素の少ない状態に長時間置くと、変種プレセニリン2(PS2)というたんぱく質ができ、細胞死を起こすことに注目した。実験の結果、DNAが出す遺伝情報に、HMG-Iが結合すると異常化することが判明。異常な遺伝情報が、変種PS2たんぱく質を作らせていた。
 HMG-Iが結合する部分に、合成した別の分子を結合させると、遺伝情報の異常化は起きず、変種PS2もできなかった。
 死亡した老年性アルツハイマー病患者17人の脳を調べ、すべてから変種PS2を発見。遠山教授は「変種PS2が、多くの老年性アルツハイマー病の原因である可能性が非常に高い。高齢になり、脳のごく細い血管が詰まると細胞が酸素不足になり、HMG―Iによる異常化が起きるのではないか」と話している。

慢性関節リウマチの関与遺伝子を発見…神戸大医学部 2002/02/11 yomiuri

ひじやひざなどに激しい痛みを伴う慢性関節リウマチの発症に関係する遺伝子を、神戸大学医学部の塩沢俊一教授らが初めて突き止めた。
この病気は国内で約80万人の患者がいるとされるが、根本的な治療法はなく、
今回の成果で新たな治療薬の開発などが期待されるという。
慢性関節リウマチは、微生物などから体を守っている免疫の仕組みが“暴走”し、
免疫物質が自らの関節組織を攻撃して壊してしまう病気。
塩沢教授は、慢性関節リウマチの患者が多い家系を中心に、患者1000人と、健常者500人の全遺伝情報を調べ、違いを比較。患者では「DR3」という遺伝子に異常が多いことを発見した。
微生物などを攻撃した免疫細胞は、役目を終えると自殺(アポトーシス)し、免疫の暴走を防いでいるが、このDR3遺伝子が働かないと細胞自殺が起きず、免疫細胞が過剰になって発症につながると考えられる。
慢性関節リウマチは、遺伝子の影響のほか、細菌感染やホルモンの分泌異常など様々な要因が重なり合って発症するとされる。今回の遺伝子異常は、患者全体の2〜10%に見つかるという。

日焼けライトで皮膚がん増加。米研究者、未成年禁止勧告 asahi 2002/02/06

紫外線ランプで人工的に日焼けを演出する日焼けサロンは、日本でも利用者が増えているが、米国の利用者では皮膚がんの発生率が1.5〜2.5倍にも高まっていることが分かった。米ダートマス大のグループが、6日発行の米国立がん研究所報で報告し、未成年への照射は禁ずべきだとしている。同州内の皮膚科を受診した25〜74歳の約1500人(うち皮膚がん患者約800人)を対象に、日焼け器具の利用経験、それ以外の日焼け経験などを面接調査した。
その結果、日焼けランプの使用者では、未使用者に比べ、扁平(へんぺい)上皮がんの発生率が2.5倍、基底細胞がんの発生率が1.5倍になっていることが分かった。若いときから使い始めた人ほど、発生率が高かった。それ以外の日焼け経験などでは、統計的な差は見られなかった。
グループは、「未成年の日焼けランプ使用を禁止し、成人でも、使用時にきちんと危険を説明した同意書を書いてもらうべきだ」としている。

パーキンソン病治療に光…サルES細胞から神経細胞 yomiuri 2002/01/30

さまざまな組織や臓器の細胞に変化する可能性を持つサルの胚性幹(ES)細胞から、神経伝達物質ドーパミンを分泌する神経細胞や、光を感じる網膜の細胞を作り出すことに、京都大再生医科学研究所の笹井芳樹教授らの研究グループが世界で初めて成功した。ヒトとサルのES細胞は特徴がほぼ同じため、ドーパミン不足で運動障害などの症状が出るパーキンソン病や、網膜の病気などの治療につながると期待される。 笹井教授らはマウスのES細胞を、骨髄から採取した細胞とともに培養し、神経細胞へ効率よく変化させる方法を2000年秋に開発。これを同研究所の中辻憲夫教授らが作ったカニクイザルのES細胞に応用した。その結果、10日から12日でおよそ半分の細胞が神経系の細胞に変化し、そのうち約30%がドーパミンを作りだすのを確認。この細胞をマウスの脳に移植して2週間後に観察すると、約10%が拒絶されずに残っていたことがわかった。
培養を始めて3週間後、神経細胞とは別に、黒い色素を持った細胞が8%現れてきたので、その性質を調べたところ、網膜の奥にあって、光を感じる視細胞の働きを助ける網膜色素上皮細胞の特徴を持っていることがわかった。
成果は2月5日付の米国科学アカデミー紀要に発表する。笹井教授は「パーキンソン病に似た状態にしたサルの脳へ移植し、現在、治療効果を確かめる実験を進めている。安全性を厳密に確かめ、臨床応用につなげたい」と話している。

奈良医大、骨髄細胞から骨再生して移植 nikkei 2002/01/29

奈良県立医科大学は28日、骨髄細胞から骨をつくり患者に移植する手術に成功したと発表した。骨髄細胞は血管や神経など様々な組織を作り出す潜在力を備え再生医療の有力材料として注目される。今回の手術は骨髄細胞から骨を作る世界初の本格的な治療例だ。
奈良医大整形外科の高倉義典教授らと経済産業省の独立行政法人、産業技術総合研究所のティッシュエンジニアリング研究センター(大阪府池田市)が共同で手法を開発。昨年12月、変形性足関節症で足首の関節の骨がすり減り、人工関節を入れる必要のあった70歳と66歳の女性2人に移植手術を実施した。
高倉教授らは昨年11月、患者の骨盤から注射で骨髄を約10ミリリットル採取。骨髄細胞の中で骨を作る細胞に成長する「間葉系幹細胞」だけを取り出して2週間程度培養して増やした。それをセラミックス製人工関節の患者の骨と接合する部分にのせ、さらに約1カ月培養したところ、人工関節の接合部を骨で覆うことができた。2人の患者は手術後の感染症や拒絶反応もなく経過は良好。痛みもないという。

男性は「やや太め」が長生き、厚労省調査で判明                 yomiuri 2002/01/25

 男性は、標準体重よりも少し太めの方が長生きできる傾向があることが、厚生労働省の大規模疫学調査(研究責任者=津金昌一郎・国立がんセンター研究所支所臨床疫学研究部長)で確かめられた。肥満の指標「BMI」と早期死亡率の比較で、男性は健康的として推奨されている数値よりも高めの人の方が、死亡リスクが低いことがわかった。「標準体形」を左右する結果だけに、「健康的な体重」論議を呼びそうだ。
健康な40、50歳代の男女それぞれ2万658人、2万2482人の健康状態を1990年から10年間追跡調査。この結果、男性ではBMIが23〜26.9の人がもっとも死亡率が低かった。これを基準とすると、21〜22.9で1・33倍、19〜20.9で1.57倍、それ以下では2.26倍と、やせるにつれて死亡リスクが高まった。肥満でも、27を超えるとリスクは高い。27〜29.9で1.38倍、30以上で1.97倍だった。
女性では、BMI19〜24・9が最も死亡率が低い。25を超えると死亡率が上昇し、30以上では1・91倍となる。逆に19未満の「やせ過ぎ」でも1.94倍に死亡リスクが高まる。
特に男性では、死亡リスクが高まるBMI23未満の割合が調査対象者全体の44%を占めており、「やせ形」でなければ防げた死亡者の割合は死亡者全体の18%。27以上の「肥満」のために亡くなった割合(4%)の4倍以上になった。

 BMI(ボディー・マス・インデックス) 体重(キロ・グラム)を身長(メートル)の2乗で割った数字。最も死亡率が低いとされた23〜26・9は、身長1メートル65の人だと62.8〜73.5キログラム。病気になる確率が最も低いと言われる標準的なBMIは22。25以上は「肥満」で、厚生労働省などでも25未満を推奨している。