●歯周病退治、歯磨きよりも抗かび剤のうがいで asahi 2001/11/20
簡単なうがいで歯周病が治る、との論文が歯科専門誌最新号に発表された。 |
●更年期障害:男性も40〜60代で増加 2001/11/13 mainiti
医学的に未解明な男性の更年期障害を研究し治療に役立てようと、「日本エイジングメイル(加齢男性)研究会」が設立される。更年期障害は女性特有のものとみられてきたが、最近は同様の症状を訴える40〜60代の男性も増えている。 |
●自己免疫病治療に効果期待 精神,神経センターが新物質 2001/10/04 nikkei
リウマチなど免疫にかかわる病気の治療につながると期待される物質を国立精神・神経センター免疫研究部の山村隆部長らが新たに合成した。この種の病気の原型ともいえる自己免疫性脳せき髄炎にしたマウスに与えたところ、ふつうは重くなる下半身まひが軽症で、歩くことができた。4日発行の英科学誌ネイチャーに発表された。自己免疫病は、本来なら病原体などから体を守る働きをする免疫が自身を敵とみなして攻撃する病気。たんぱく質の断片を用いる治療が研究されているが、アレルギーなどの副作用もあった。山村さんらが注目したのは、ある免疫細胞に働きかける糖脂質という物質。体内に存在するままだと症状を抑制する一方で、悪くする作用もあるが、悪化作用が起きないように改良した。 |
●人間のへその緒から、環境ホルモンDCHP検出 2001/10/03 nikkei
内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の疑いがあるとして環境省が最優先でリスク評価に取り組んでいる12物質の一つ、フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)が同省の調査で新生児のへその緒から検出され、3日開かれた内分泌かく乱化学物質問題検討会に報告された。DCHPは防湿用セロハンやアクリル塗料の可塑剤など住宅建材の一部に使われ、東京都などの調査で屋内の空気からも検出されているが、ヒトからの検出は初めて。環境省は「検出濃度は極めて低く、ヒトに影響があるかどうかは評価中だ」としている。新生児5人から集めたへその緒のうち、一例から脂肪1グラム当たり2700ナノグラムのDCHPが検出された。他の四例は検出限界以下だった。DCHPは、今回検出された濃度の約千倍の量を投与すると、ネズミの精巣に異常を引き起こす場合があることが海外で報告されており、生殖への悪影響の可能性があるとされる。国内では年間約百トン生産されているが、排出規制はない。 |
●早食いは肥満の始まり 調査で裏付け 2001/09/28 asahi
早食いは肥満のもと。サラリーマンの食生活について、ライオン歯科衛生研究所と東京歯科大学社会歯科学研究所が共同で調査したところ、こんな通説を裏付けるデータが得られた。29日から始まる日本口腔(こうくう)衛生学会で発表する。 |
●C型肝炎にインターフェロン、死亡危険率6割減 2001/09/19
大阪大学の研究グループは、C型慢性肝炎の患者にインターフェロンを投与すると、肝硬変に進行して死亡する危険率が6割軽減することを、大規模な調査で検証した。 C型慢性肝炎の感染者数は国内で100万〜200万人といわれ、その治療にはいまのところインターフェロンが最も有効な薬とされている。 効果が大規模調査で明らかになったのは初めて。 阪大大学院医学系研究科の笠原彰紀助教授らは、阪大や京都府立医科大学などでインターフェロンを使って治療したC型慢性肝炎患者と治療しなかった患者を対象に死亡する危険率を調べた。治療した3024例のうち死亡したのは72例、治療しなかった271例のうち死亡したのは42例だった。治療開始時点における患者の年齢や肝炎の進行度などを勘案して統計処理した上で、インターフェロンで治療しなかった場合の死亡危険率を一として、治療した場合の死亡率を計算したところ、0.4となった。 成果を26日から横浜で開かれる日本癌学会で発表する。 |
●遺伝子・細胞を同時に投与、心臓病治療申請へ。 2001/09/09 nikkei
大阪大学の研究チームは心筋梗塞などの心臓病患者について、治療用の遺伝子と細胞を同時に投与する新しい先端医療を実施することを年内にも学内の審査委員会に申請する。遺伝子によって心臓に新しい血管をつくり血行を改善させると同時に、筋肉細胞の投与で心筋の再生を促し治療効果を高める。学内と国レベルの審査を経て1年以内の実施を目指す。
新しい治療法は血管などの再生を促す肝細胞増殖因子(HGF)をつくる遺伝子と、患者から採取した骨格筋細胞を培養した細胞を心筋に注射する。HGFの働きで心筋梗塞や狭心症によって血液が流れにくくなった心臓に新しい血管が生まれ血行を改善する。増殖能力を持たない心筋にも新しい細胞を導入することで弱った機能を回復させる。新手法は心筋梗塞などで通常実施する心臓の血管のバイパス手術や、薬による治療では治らない重症患者を対象とする。 |
●ダイエット:砂糖とある種の食物繊維を一緒に取ると効果あり。2001/09/08 mainiti
砂糖入りの菓子を、食物繊維の「D―キシロース」と一緒に取れば糖が吸収されず、脂肪の生成を抑えるダイエット効果があることが、鹿児島大農学部の藤井信教授(食品機能化学)らの研究グループの調査で分かった。糖尿病や高血圧の予防にも効果があるといい、甘党には夢のような「甘い話」が実現しそう。D―キシロースは、小麦など穀物類のかすから精製された食物繊維。食品添加物などに利用されている。肥満は、糖分が小腸の酵素で分解、吸収され、血糖値が上がり脂肪が増えるのが原因。しかし、D―キシロースは、砂糖(しょ糖)を分解する小腸の酵素の働きを抑えるため、そのまま大腸へ。さらに大腸では、微生物が砂糖を分解し、中性脂肪などの合成を押さえる有機酸を多量に生じさせるため、新たな脂肪ができにくいという。 |
●母乳に含まれるダイオキシン類。食事で汚染防げる。2001年09/05 yomiuri
母乳に含まれるダイオキシン類の濃度は、これまで言われていたように母親の体に長年蓄積された 量に比例するというより、日々の食事に含まれるダイオキシン類に大きく左右されるという研究結果を摂南大薬学部の宮田秀明教授らがまとめた。 食事で摂取されるダイオキシン類の6割は、魚介類からとされる。宮田教授らが厚生省の調査では、水質が汚染されている大都市沿岸の魚ほど高濃度だった。野菜など農作物も土壌汚染度に影響されるという。授乳中や妊娠中の女性が個別レベルで汚染を防ぐには「データーを参考に食物の産地を選ぶのも1つの方法」と宮田教授。 またいったん口から入ったダイオキシン類をうまく排出したり吸収しにくくすることもできる。 食物繊維は排出を促し、葉緑素はダイオキシン類を吸着する性質を持っている。 「国内のダイオキシン類の大半は、一般ゴミや産業廃棄物の焼却で発生している。 この問題の解決も忘れてはならない」と宮田教授は指摘している。 |
●百歳超「毎日気分いい」8割 2001年09/05 nikkei
100歳以上の高齢者の約8割は、健康で毎日気分よく過ごしていると感じている。超高齢者の健康意識や生活の自立度などについて健康・体力づくり事業財団が実施した聞き取り調査で、「元気な100歳」の姿が浮かび上がった。7日、東京都内で開かれる「健康日本21推進全国連絡協議会」で報告される。100歳以上の高齢者に「生活の質」を尋ねた大規模調査は、世界的にも例がないという。100歳以上の人は、国内で1981年に初めて1000人を超えた後、昨年には1万3000人に達し、急速に増えている。 調査は、99年度の高齢者名簿1万1000人余のうち、男性全員と、数の多い女性の半数を抽出し、同意が得られた1907人(男性266人、女性1341人)に行った。 日常生活について、「自分で身の回りのことができる」のは、男性51.7%、女性34.9%と、自立度が高かった。「バスや電車に1人で乗れる」と答えた人も男性12.1%、女性で3.8%いた。 男性の83.0%、女性の77.4%が「毎日気分よく過ごせる」と答え、健康を実感している人が多い。「生きがいを持っている」人は、男性43.6%、女性25.8%で、男性の方が高い結果が出た。生きがいの内容では、「家族」「健康で楽しく過ごすこと」「長生きすること」などを挙げた人が多かった。主任研究者の荻原隆二・長寿科学振興財団常務理事は「比較的元気な人が調査に応じた可能性も考えられるが、100歳以上の高齢者は予想以上に前向きな考え方を持ち、活動的という印象だ。女性より平均寿命が短い男性の方がむしろ行動的なのは、100歳を超えた人は真の“健康エリート”ということの裏返しではないか」と推測する。 |
●患者骨髄の幹細胞注射で心臓機能が改善 2001/08/25 nikkei
ドイツのデュッセルドルフ大医学部は24日、同大付属病院のシュトラウアー教授(心臓外科)を中心とするチームが心筋梗塞(こうそく)の患者に患者自身の骨髄から取った幹細胞を注射し、心臓の機能を改善させることに成功したと発表した。
骨髄の幹細胞注射による心臓の修復は今年4月、米国の研究グループがマウスでの成功例を英科学誌に報告しているが、人体での成功は世界で初めて。シュトラウアー教授は「移植以外に方法がない重症患者の治療に新たな可能性が生まれた」としている。 発表によると、今年3月に入院した男性患者(46才)の骨盤の骨髄から幹細胞を取り、心臓の動脈に注射した。その結果、十週間後には心筋の壊死(えし)部分が3分の一に縮小、心機能が「明らかに改善」した。だが、幹細胞が心筋細胞に変わったのか、心筋細胞の再生を助けただけなのかは不明、としている。 |
● お年寄りの健康、ペットが支え・筑波大調査 2001/08/20 nikkei
犬や猫などのペットを飼い、親友のように付き合っている高齢者ほど健康な傾向にあることを、筑波大のグループが住民の調査で確かめた。高齢社会の到来で1人暮らしのお年寄りが増えているが、動物との共生は、健康を長く維持するのに役立ちそうだ。
研究したのは筑波大医療技術短大部の斉藤具子非常勤講師と筑波大社会医学系の加納克己教授、上地勝助手ら。9月13日からブラジルで開かれる「人と動物の関係に関する国際会議」で発表する。 研究グループは1999年、茨城県北部の里美村に住む65歳以上の高齢者400人に質問紙を郵送、ペットの有無や健康状態を調べた。339人から有効回答が寄せられた。飼育経験がない人、過去に飼育した人、現在も飼育している人がそれぞれ約3分の一を占めた。ペットは犬がやや多く、猫が続いた。「食事を自分で用意できる」など、高齢者の健康度の指標となっている手段的日常生活動作能力(IADL)について、ペットとの関連を解析した。 |
●幼少期のストレスは一生、悪循環招く…米研究20001/07/10 yomiuri
幼少期に虐待やネグレクト(養育放棄)を受けると、ストレスホルモンが脳細胞を破壊し、成長してからも記憶や認識能力に障害が出る可能性がある―とする研究結果を米国の研究者がまとめた。 |
●パーキンソン病の原因たんぱく質特定 2001/06/29 mainiti
運動系の神経が侵される難病「パーキンソン病」の発病の鍵となるたんぱく質を、理化学研究所脳科学総合研究センターと順天堂大の研究チームが初めて特定し、29日発行の米科学誌「セル」で発表した。このたんぱく質が蓄積すると、脳の神経細胞が死ぬことも実験で確かめた。新薬の開発や予防につながる成果として注目される。 |
● 小児への解熱剤投与、注意を喚起・厚労省 nikkei 2001/06/28
インフルエンザなどにかかった小児に対して解熱目的で医療用医薬品のサリチル酸系製剤(アスピリンなど)を投与した際、意識障害を起こすなど死亡率の高いライ症候群を発症したケースが相次いで報告されたとして、厚生労働省は27日、「因果関係を否定できない」として医療機関に注意を呼び掛けた。特に風邪薬に含まれている場合、気づかないことが多いという。ライ症候群は、水痘(すいとう)やインフルエンザなどウイルス性の病気にかかった後、激しい嘔吐(おうと)や意識障害、肝機能障害などが起き、死亡率も高い。
1980年代に米国で、アスピリンの投与とライ症候群の関連が指摘されたため、同省は注意を呼び掛け、98年12月からは15歳未満の小児に対して水痘、インフルエンザの患者へのサリチル酸系製剤の投与を原則、禁止している。しかし禁止後も発熱などの症状で同製剤を含む風邪薬の投与を受けた女児3人にライ症候群が起き、うち2人には後遺症が出たため、改めて注意を徹底することにした。3人のうち1人にはアスピリン、2人にはサリチルアミドを配合した風邪薬が投与されていた。 |
asahi 2001/06/26
喫煙、飲酒、肥満、貧困のどれがより体に悪いか。米国の学者がそんな難問に挑み、肥満が最も有害という結論に達した。英医学誌パブリック・ヘルスに掲載された。米ランド研究所の経済学者ローランド・スターム氏らが米国人の男女9585人に身長や体重、年収、健康を尋ねた。 |
●赤ちゃんの先天性疾患、葉酸で防げる yomiuri 2001/06/20
葉酸の摂取で赤ちゃんの先天的な脊椎の形成不全が予防できたとする報告書を、米疾病管理センター(CDC)の研究チームがまとめた。20日付の米国医師会雑誌に発表する。 |
●解熱剤「メフェナム酸」使用中止を・厚労省 nikkei 2001/05/31
厚生労働省は、小児のインフルエンザ脳炎・脳症を重症化する可能性があるとして、インフルエンザと診断した場合、非ステロイド系解熱消炎剤「メフェナム酸」を含んだ解熱剤の患者への投与を中止するよう医療機関に要請することを決めた。同省の研究班の調査では、メフェナム酸の投与と重症化に明確な因果関係を確認できなかったが、死亡する患者が出ていることから、極めて異例の要請となった。
メフェナム酸は内服剤や座薬として使用され、商品名としては三共の「ポンタール」が知られる。解熱作用が強く、小児の発熱などで使用されることが多い。 同省は昨年11月、小児がインフルエンザ脳炎などを重症化させるとして、同じ非ステロイド系解熱消炎剤「ジクロフェナクナトリウム」の投与の禁止を指示。同じ系統のメフェナム酸については「調査結果で悪化の傾向はなかったが、悪影響を否定されたわけではない」などとして調査を続けていた。 |
●シックハウス症候群の原因物質、3割の住宅で高濃度nikkei 2001/05/30
国土交通省など4省庁と学識経験者、関連団体による「室内空気対策研究会」(委員長・今泉勝吉工学院大学名誉教授)は29日、住宅内の化学物質の濃度に関する実態調査の結果を公表した。「シックハウス症候群」の原因とされるホルムアルデヒドは、調査した住宅の約3割で、厚生労働省の定めた室内濃度指針値を上回っていたことが分かった。
同研究会は「ホルムアルデヒドは同時に調査した他の3物質より濃度が高い住宅が多く、優先的に対策に取り組むべきだ」としている。調査は1999年9月から2000年3月まで、全国約4600戸(有効データ4482戸)を対象に実施。ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼンの4つの化学物質の濃度を、簡易測定器を使い24時間の平均で測定した。ホルムアルデヒドは、全体の27.3%に当たる1224戸で、厚生労働省が定めた室内濃度指針値(0.08PPM)を上回った。トルエンは12.3%、キシレンは0.13%の住宅で指針値を超えた。ただ、平均濃度は四物質とも指針値を下回った。 |
● アルツハイマー病:原因物質分解の「主役」特定 mainiti 2001/05/24
アルツハイマー病を引き起こす原因物質と考えられる「ベータアミロイド」を脳内で分解する酵素を、理化学研究所などのグループが世界で初めて特定し、高い分解能力を実証した。この酵素の働きを維持すれば原因物質の蓄積を抑えることができ、発病の予防につながる重要な成果と注目されている。25日発行の米科学誌「サイエンス」に発表された。アルツハイマー病は、ベータアミロイドという特殊なたんぱく質が長い年月をかけ、脳に蓄積し、それが付着した神経細胞が死滅して起こるとする説が有力だ。ベータアミロイドは脳内で常に作られ、健康な人ではすぐに分解されると考えられている。理研脳科学総合研究センターの西道隆臣らは、脳内での役割が不明だった「ネプリライシン」という酵素に着目。米ハーバード大が開発した、ネプリライシンを作れない特殊なマウスを使い、脳内でどんな働きをしているかを調べた。実験の結果、ネプリライシンがないマウスは、脳内のベータアミロイドの量が正常マウスの約2倍に増加しており、この酵素が分解に強く関与していることが分かった。また、ベータアミロイドは「海馬」と呼ばれる部分にとくに多く、人間のアルツハイマー患者の病状とよく似ていた。一方、カナダのグループが行ったアルツハイマー病患者の脳検査では、海馬の部分でネプリライシンの働きが弱まっており、今回のマウス実験の結果と合致したという。 |
●アルツハイマー病の発症防ぐ物質を発見2001/05/22 yomiuri
アルツハイマー病の原因遺伝子による脳神経細胞の死滅を防ぐ物質を、慶応大医学部の西本征央教授らが突き止めた。 アルツハイマー病には、40〜65歳ぐらいで発症する若年性のものと、65歳以上で起こる老年性のものとがある。原因遺伝子に異常がある人は、若くしてアルツハイマー病を発症する。国内の患者は約百万人、世界では1000万人以上といわれている。治療法や新薬の開発では、βアミロイドを作る酵素の研究などを中心に、各国の研究者がしのぎを削っている。症状の進行を遅らせる薬は臨床応用されているが、根治させる治療法はまだ開発されていない。米国では、βアミロイドの働きを封じ、記憶力を改善させる「ワクチン」開発などの試みも始まっている。国立療養所中部病院長寿医療研究センターの田平武所長の話「アルツハイマー病による細胞死だけを特異的に防ぐ物質は例がない。HNのように小さな物質は脳に届きやすく、有効な薬となる可能性が高い。今後は、動物実験を踏まえ、人間での効果を確かめる必要があるだろう」 |
●遺伝子組み換えウイルスで肉腫狙い撃ちの新治療法 yomiuri 2001/05/16
骨や筋肉などに生じるがんの一種、肉腫の細胞を、遺伝子組み換えウイルスで狙い撃ちして破壊する新治療法を大阪府立成人病センターの高橋克仁部長らが開発。 |
●卵子に電気刺激を与え不妊治療、4人が出産成功 2001/05/14 yomiuri
究極の不妊治療といわれる「顕微授精」を試みても受精しない重症の不妊患者に対し、精子を卵子に注入した直後、卵子に電気刺激を与えて受精を促す新しい方法を福島県立医大産婦人科チームが試み、4人が出産に成功した。顕微授精により国内で年間5.000人以上の赤ちゃんが生まれているが、不成功例も5%程度あるとされ、こうした患者を救済する手段になると期待される。札幌市で開会中の日本産科婦人科学会で14日発表した。顕微授精(卵細胞質内精子注入法)は、体外に取り出した卵子に一個の精子を注入する技術。成功しない原因は不明だが、精子は卵子の細胞分裂を促す未知の活性化物質を持ち、不成功例では、注入した精子にその物質がないのが一因と考えられている。不成功例で止まったままの卵子の細胞分裂を促すため、治療チームは電気刺激を加える手法を導入した。顕微授精で受精しなかった患者の同意と、同大学倫理委員会の承認を得て、22人を対象に計三十回電気刺激法を行ったところ、5人が妊娠し、うち4人が今年三月までに無事出産した。柳田薫・同大助教授は「海外の報告でも、この方法で染色体異常を持つ子が生まれる確率は、通常の妊娠と同じ程度。両親へのリスクの説明をきちんと行い、慎重に進めたい」と話している。 |
インターフェロン注射が効きにくいC型肝炎患者でも、牛乳中に微量に含まれるたんぱく質「ラクトフェリン」を食べると治療成果が向上することがわかった。横浜市立大医学部付属市民総合医療センターの田中克明教授(消化器内科)らが、17日から横浜市で開かれる日本肝臓学会で発表する。C型肝炎患者20人に24週間、C型肝炎ウイルスに対する攻撃力を高めるインターフェロンの注射治療をした。このうち10人は、治療後の24週間を含む24週間、ラクトフェリンを1日1.8グラムずつ食べた。24週間たった時点では、ラクトフェリンを食べた患者は10人中8人が、体の中のウイルスが検出限界以下になるまで減少した。食べていない患者10人ではここまで減ったのは3人だった。注射をやめると、ウイルスが再び活動を始める傾向にあったが、ラクトフェリンを食べた患者ではある程度ウイルスの増殖が抑えられた。国内のC型肝炎患者・感染者は約200万人。感染したウイルスの型によってインターフェロンが効きにくい人が多く、治療の課題になっている。田中教授は「インターフェロンとラクトフェリンの相乗効果がわかったが、長期的な効果は大規模な臨床研究で確かめる必要がある」と話す。ラクトフェリンは、人の母乳や牛乳などに含まれ、免疫力を高める働きをする。含有量が微量なうえ、市販の牛乳は熱処理されているので効果が失われる。今回の臨床研究には、森永乳業が牛乳からラクトフェリンを精製して作った粒状の食品を使った。 |
●培養皮膚、2年後にも国産化 厚労省研究班 2001/01/13 asahi
やけどや皮膚病の治療に使う培養皮膚のうち、真皮の開発をめざす厚生労働省の研究班が今夏、本格的な臨床研究を始める。 |
●抗がん剤を患部に「直送」国立がんセンター 2001/05/12 asahi
抗がん剤を患部にピンポイントで送りこむ新治療法に、国立がんセンターが取り組む。薬を高分子でイガグリ状に包み、微小な粒にした。効き目を高めるだけでなく、髪が抜けるといった副作用も軽くすると期待されている。準備を進める松村保広・内科医長は「このタイプの臨床試験は世界初」という。6月に同センター治験審査委員会に臨床試験計画を申請する。ナノテクを使って抗がん剤に高分子をくっつけ、直径数十ナノメートル(1ナノは10億分の1)と、ウイルスほどの大きさにした。「高分子ミセル」と呼ばれるもので、薬をこのサイズにして血液に入れると、正常な血管からはもれにくい。しかし、がん組織の周りの血管は大きな分子がしみ出しやすくなっているので、イガグリが外へ出て、がんを直撃する。さらに、その場に長くとどまり、薬効をあげ続ける。抗がん剤の副作用の脱毛は、がんの増殖にブレーキをかける効果が毛根の細胞にも及ぶために起きる。効き目の強い薬を選ぶほど副作用もきつくなる。今回の治療法を使えば、強い薬を使いやすくなるという。使いたい所に集中的に薬を運ぶドラッグデリバリーシステム(DDS)のひとつで、東京大と東京女子医大が基礎技術を開発し、日本化薬(本社・東京)が実用化に向けて研究してきた。国立がんセンターは動物実験などで安全性や効果があることを確かめた。マウス実験で、がんが大きくなるのを抑える働きは普通に抗がん剤を使ったときの約2倍あった。臨床試験は、これまでの方法で抗がん剤を投与したり、放射線治療をしたりしても、目立った効果のなかった患者が対象になる見込みだ。成功すれば、ほかの薬にも応用される道が開かれそうだ。 |
●脂肪肝患者10年で倍増。yomiuri 2001/05/05
肝臓に多量の脂肪がたまって肝機能が低下する「脂肪肝」と診断される人が、最近10年間で2倍以上に急増し、検診受診者の約30%に達していることが、東海大付属病院(神奈川県伊勢原市)での受診者35.000人に対する調査で分かった。脂肪肝は、肥満や飲酒習慣、糖尿病などによって起こるとされるが、こうした要因が見当たらない患者が増えているという。東海大医学部消化器内科の松崎松平教授らが、1989年から98年までの十年間に、付属病院で初めて検診を受けた約35.000人の診断結果を分析。超音波検査で脂肪肝と診断された人の割合を一年ごとに算出し、その推移を調べた。その結果、八九年は全受診者のうち脂肪肝患者の割合は12・6%だったのが、年ごとに増え、98年には30.5%と10年間で2倍以上に達していた。脂肪肝は、肝臓がエネルギー源として作り出す中性脂肪の量が、使う量より多い場合に起こり、余った脂肪が肝臓の細胞に蓄積する。自覚症状がない場合も多いが、疲れやすくなったり、右の上腹部に軽い痛みを生じたりする。ひどくなると、吐き気を感じたり黄だんが出たりするほか、動脈硬化などの病気にかかりやすくなったりする。松崎教授の話「脂肪や糖分の取り過ぎなど食生活の変化が原因とも考えられるが、なぜ増えているのか、原因究明する必要がある |
●酵素の増減に着目し「だ液」でストレス測定 yomiuri 2001/05/02
ストレスを受けた程度とだ液中の消化酵素の分泌量との間に相関関係があることを、富山大工学部(富山市)の山口昌樹助教授(生命工学)らの研究グループが発見した。仕事中のストレスを測って突然死の予防などにも活用できるという。今月9〜11日に名古屋市で開かれる日本エム・イー(医用生体工学)学会で発表する。 |