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先端技術の開発でがんの早期発見目指すyomiuri 2000/08/25

厚生省は二十五日、従来の方法では初期段階で見つけるのが難しい膵(すい)臓や肺などのがんの早期発見を可能にする先端的な検診技術の開発を目指す「がん予防研究センター」(仮称)を、国立がんセンター(東京)に新設する方針を決めた。
がんは早期発見と適切な治療で完治する場合が多いが、一部のがんでは検診技術が遅れており、治癒率向上の障害になっている。このため、全国初の研究拠点を設けることにした。
がんはわが国の死因の第一位で、国民のほぼ三人に一人ががんで死亡している。各地で早期発見のための検診が行われているが、一部のがんについては専門家の間から検診の効果が疑わしいとする指摘が出ているほか、体の深部にある臓器のがんは早期発見が難しく、手遅れになる例が多い。
新技術として〈1〉口から入って消化管内を進み、がん病巣を調べるワイヤレス式の「カプセル内視鏡」〈2〉血液検査でがん病巣の有無を調べる新たな腫瘍(しゅよう)マーカー〈3〉膵臓がんの新しい画像診断法――などの開発が候補になっているが、具体的には専門家による検討委員会で詰める。
また、ゲノム(全遺伝子)情報を利用して、がんになりやすさなど個人の体質に応じた検診法の開発なども試みる方針だ。

幹細胞使い肝組織再生…筑波大 yomiuri 2000/08/19

臓器のもとになる「幹細胞」を肝臓から探し出し、新たな肝組織を再生させることに、筑波大消化器外科の深尾立教授、谷口英樹講師らのグループが動物実験で初めて成功した。体外培養の後に移植した幹細胞は肝臓内で増殖し、肝臓だけが作るたんぱく質も合成したことを確認。細胞移植による肝臓の再生や遺伝子治療への応用も期待され、失われた組織や臓器を作り出す「再生医学」の重要な研究成果として注目される。肝臓は構造が複雑で、しかも幹細胞は体外では死滅しやすいため、実験室での培養や再生は難しい。増殖能力の高い幹細胞は、肝組織にわずかしか存在しないが、谷口講師らはこれを見つけ、マウスの肝臓から分離して培養する技術を開発した。

 今後、新たな肝組織が、血液凝固因子の生成や胆汁の分泌など、肝臓の持つ多くの機能を発揮しているかを調べる。さらに、重症の肝不全にしたマウスが、幹細胞の移植で生存を続けるかどうかも実験する。谷口講師は「詳しい機能解析はこれから。長期的な観察が必要」と話している。

大腸がん発生防ぐ仕組み解明・東大教授ら nikkei 2000/08/18

 東京大学分子細胞生物学研究所の秋山徹教授らの研究チームは、2種類のたんぱく質が協力して大腸がんの発生を防いでいることを突き止めた。大腸がんのもとになるポリープの発生を抑制するたんぱく質はすでに知られていたが、新しく発見したたんぱく質がこれと結び付くことで、大腸がんを防いでいるという。研究成果は18日発行の米科学誌「サイエンス」に掲載される。発見した新たんぱく質は「Asef」と呼ぶ。このたんぱく質が大腸がん抑制遺伝子APCの作るたんぱく質と結合して働きが活発になり、大腸の細胞を正常に増殖させるたんぱく質の働きを活発にすることを突き止めた。何らかの異常でAPCのたんぱく質ができなくなると、Asefも結合できなくなるため、大腸の細胞に障害が起き、ポリープができて悪化すると大腸がんになる。APCの代わりにAsefの働きを活発にする薬物などを開発すれば、大腸がんの発生を抑制する薬の開発につながるという。

●孤独健康に悪影響。高血圧や睡眠妨げ米シカゴ大チーム 2000/08/09

孤独な生活は血圧を高くし、睡眠を妨げて健康を害する。
米シカゴ大の研究チームが大学生と中高年を対象にした孤独と健康についての調査結果を7日までに米心理学会で発表した。
同チームは孤独な生活の健康リスクは喫煙にも匹敵すると指摘している。
研究チームは@配偶者、恋人がいない。A親友がいない。B社会からの孤立感がある。にあてはまる人が孤独だと定義。
短い演説をさせるなどのストレスを与えると、孤独な人は血圧が上昇しやすいことが判明した。睡眠時間も孤独でない人の平均6.4時間に対して、5.8時間と短く、夜中に目を覚ますなど眠りも浅かった。
65才以上の高齢者では、孤独な人の血圧は孤独な人より平均の数値は16高かった。
同チームは、ボランティアに参加するなど周囲の人とつながりを持つことが健康に重要としている。

家庭の空気中にも環境ホルモン…都調査 2000/08/03 yomiuri

家庭の空気中にも内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)が含まれていることが二日、東京都衛生局の調査でわかった。
室内の生活空間も環境ホルモンに“汚染”されていることが検出数字で裏付けられたのは初めて。
調査が行われたのは都内の一般住宅や共同住宅、老人保健施設など三十五か所。通常の生活状態での室内空気を採取して分析した。その結果、内分泌かく乱作用の疑いがあるフタル酸エステル類が、調査した空気のすべてから検出された。フタル酸エステル類は、家具や日用品、建材などのプラスチックに添加剤として広く使われている化学物質で、そのうちの六種類が環境ホルモンに指定されている。
採取した空気から例外なく六種類のいずれかが検出されており、特に「フタル酸ジ―2―エチルヘキシル」「フタル酸ジ―n―ブチル」の二物質は、三十五か所すべてから見つかった。
都衛生局では「健康への影響はまだわからない」としながらも、「発生源の特定など原因の究明によって、対策を検討する必要がある」としている。

3歳児の4割以上がアレルギー疾患…都が調査

2000/07/25

東京都が行った都内の三歳児に対する調査で、
四割以上の子どもが何らかのアレルギー疾患にかかっていることが二十五日、分かった。
厚生省の全国調査の数値を大きく上回っており、都は原因の究明と対策に取り組む。
都の衛生局が、昨年九月の三歳児健康診査を受診した幼児の親七千九百八十八人を対象にアンケート調査し、
四千四百十五人(55・2%)から回答を得た。それによると、何らかのアレルギー疾患を持つ三歳児の割合は
41・9%に上り、五人に二人がアレルギーに苦しんでいることが分かった。
性別の有症率は男児45%、女児39%と、男の子の方が多い。
疾患別(複数回答)にみると、「アトピー性皮膚炎」が18・0%と最も多く、続いて「じんましん」15・0%、
「ぜん息・ぜん鳴」9・5%、「食物アレルギー」9・4%などの順。
アトピー性皮膚炎の子どものうち、半数以上が食物アレルギーを、三分の一以上がぜん息を併発しているなど、
複数のアレルギー疾患にかかっているケースが多いことも判明した。
厚生省が92〜94年の間に行った調査では、小児のアレルギー疾患有症率は約35%と推計している。
都衛生局は「単純比較はできないが、都内の幼児のアレルギー疾患状況は深刻で
、早急に対策を検討する必要がある」としている。

アレルギー食物使った食品に表示義務

2000/07/14 nikkei

 食品衛生調査会の表示特別部会は13日、食物アレルギーを引き起こす恐れのある物質を含む加工食品に成分表示を義務付ける方針を決めた。
また原材料に遺伝子組み換え作物を使った食品に安全表示を義務付けることを最終決定した。
ともに2001年4月から実施する予定。同部会は食物アレルギーのショック症状を引き起こす可能性がある食物として卵、小麦、ソバ、エビなど24種の食物を選び、これらの食物を微量でも含む加工食品には、容器に原材料名の表示を義務付けることを決めた。
 一方、遺伝子組み換え作物を原材料に使用した加工食品は安全性を審査したうえで、組み換え食品であることを表示する。
組み換え大豆から作った豆腐やきなこ、組み換えトウモロコシを原料とするスナック菓子などが対象。
生産過程で組み換え食品が混じった場合にも表示が必要となる。ただ組み換え作物から絞った油や、組み換えトウモロコシからつくられたコーンフレークなど一部の食品は、表示を義務付けない。

●アルツハイマー対策ワクチン、人体へ悪影響なし

 2000/07/12 nikkei

アルツハイマー病対策のワクチンを研究・開発する米国のエラン・
ファーマシューティカルズ社は11日、ワシントンのセミナーで同社のワクチンが
人体へ悪影響を及ぼさないとの臨床実験の初期結果を発表した。

 アルツハイマー病は脳細胞の機能低下などにより、患者の記憶が鮮明でなくなる。
原因は解明されていないが、一般的には脳にたんぱく質がまだら状に集まった
「アミロイド・プラーク」ができ、神経細胞の機能に支障を及ぼし、
細胞を死に追いやるとみられている。
エラン社が開発中のワクチンはこのプラークを取り除くとともに、
脳細胞の保護を狙っている。

 同社が昨年までに実施した動物実験の結果では、ワクチンが正常なネズミの脳で
プラークの形成を防いだほか、アルツハイマーの症状にあるネズミでも
病気の進展を遅らせることに効果があった、という。

サリドマイドが骨髄腫に効果

2000/07/06 yomiuri

 かつてサリドマイド児の薬害を招き、製造中止に追い込まれた睡眠剤「サリドマイド」が、骨髄のがん骨髄腫(しゅ)に有効であることが分かり、治療薬として使用するため、患者会が窓口となって六日までに、ブラジルから輸入した。
大規模な薬害事件の第一号として国際的にタブー視されるサリドマイドだが、見直された新たな薬効に「日本骨髄腫患者の会」(事務局・東京、約四百人)が着目した。
薬害を引き起こした薬を再び臨床で使用するのは極めて異例。
海外での薬効研究で、がん細胞の栄養補給路となる腫瘍血管の形成抑制や、骨髄移植後の拒絶反応を抑える効果が判明した。
米・アーカンソーがん研究所では、他に治療法のない末期の骨髄腫患者にサリドマイドを投与したところ、骨髄腫細胞から出される異常なたんぱく質の量が半数以下と、劇的に改善した患者は25%。症状でみると、約三分の一の患者が改善した。
 
 ただ、ブラジルでは今もサリドマイド児が誕生するなど副作用の恐れも強い。
このため同会は、他の治療手段がなくなった患者に使用を限定し、妊婦には服用させないなどを要望した上、
〈1〉病院、医師、患者の責任で使用する
〈2〉副作用の危険性を患者に十分に説明する――との確認書を病院側と交わした。  同会の堀之内朗会長は「現在もサリドマイドの後遺症に苦しむ人がいることを重く受け止めているが、既存の治療法が尽きた患者には残された希望の灯だ」と話している。  

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